本校の中等部英語科にとって
最も大きな行事は英語フェスティバルです。
1年生が歌、2年生が暗唱、そして3年生が劇をします。
文字離れすることはなはだしかった私が
読まざるを得なくなったのはこのためです。
★ ★ ★
例えば、今年の英フェスで
全学年で取り組んだ『メアリー・ポピンズ』に向けては
私は映画を観るところから始め、
同作品の原書についての分析本を読みました。
昨年度、英語劇で用いた『オリバー・ツイスト』では
映画は以前観たことがあったので
小説や、児童向けに書き直された英語版の本を読みました。
まず一番の大物である『英語劇』のイメージさえ膨らめば
なにを歌いなにを暗唱させるかは自然と固まってきます。
では、来年度以降に向けていま何を考えているのかというと・・・・・・
ネタばれになるので言いませんが
やっぱり全学年で一色に染まったほうが
生徒としても盛り上がるらしいので
「○○年代のアメリカ」という縛りでいけたらなぁと考えています。
★ ★ ★
さて、そんなふうに次から次へとアイディアだけは浮かんでくるのですが
アイディアの種探しは、一人でしても好みが偏ってしまうもの。
私は学年の先輩先生にサーチをかけます。
わたし「A先生、先生の学年では、英語劇で何をさせたいですか」
A先生「うちの学年はまだ1年生だけどねぇ・・・・・・。そうだなぁ。
“Westside Story”なんてできたら、最高だけどね」
わたし「じゃ、やりますか?」
A先生「いやいや、歌をやるような雰囲気の学年じゃあないからなぁ。
原点に返るということで『○○』なんかは?」
『○○』かぁ。題名くらいは知ってるけど、内容はあんまりわかんないなぁ……と心の中で思う私。
そこで、とりあえず、Wikipediaなどで『○○』についてざーっと調べます。
過去にミュージカル化や映画化がされたか、音楽や俳優や衣装が有名な賞を受賞したか。
ラブ・ロマンスかコメディかミステリーか。
作品に込められているメッセージはあるか。社会風刺か、あるいは単に娯楽として楽しめばいいのか。
調べていくうちに「ん?」と引っかかるものがあります。
「"talkie movie”ってなんだろう? “sea shanties”って?」
など、知らない単語が登場するのです。
あるいは"nanny"という言葉は知っていたけれど、日本人の感覚とはどうも違うものみたいだぞ・・・と
認識を改めねばならなくなることもあります。
こうした疑問点を掘り下げていこうとすると
今までに手に取ろうとも思わなかった本を読まねばならなくなり
読めばまた疑問がわいて別の資料を漁ることになります。
そうやっているうちに、意外で面白い材料に行き着くのです。
そこまでして初めて、取捨選択をして台本に起こせるようになります。
★ ★ ★
若手社会人の弱点は、一人で仕事をしようとすることだ。
と、なにかの本で読みました。
無知の知といいますが
自分が知っていることなんてたいしたものではないこと、
人の見地から色々と言ってもらい、それを受け取ることで
見えていなかった世界を発見し、それが大きく広がっていくのを実感できます。
こうして、生産できるもののクオリティも上がるのではないか
などと考えている今日この頃です。

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)
駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。
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