また前回の続きから
今回で5回目の掲載となります。大阪の松浦です。よろしくお願いいたします。
前回は、1冊の本との出会いで私が教育について考えることができたお話をご紹介させて頂きました。
今回は、1本の電話からつながったご縁の出会いから伝え合う中で、人として大切な約束を通してさらに繋がり合えたことについてのお話をご紹介いたします。
1本の電話からつながったご縁
大学に合格したことを空手でお世話になっていた道場の先生に報告しに行った時のことです。私が道場の先生に
「先生、実は大学に合格して春から大阪へ行くことになりました。」
と伝えると少し残念そうな表情をしましたが、心配そうに私に向かって
「大阪には誰か知り合いでもいるのか?」
と聞かれ私は
「知り合いはいません。」
と答えると
「よし、今から紹介してあげるよ。」
といってすぐに電話をかけ始めました。
「もしもし、お久しぶりです。お元気でしょうか?実は、道場生で春から大阪へ行くのがいるんです。信用できる男ですので、ぜひ大阪でお願いいたします。」
と言って電話が切れました。呆然とする私に対して先生は、
「大阪へ行ったらすぐに岩井さんのところへ行くんだぞ。」
と言って連絡先を教えて頂きました。
何でもその方は、岩井正憲さんといい大阪で「御幸の漢方」というお店の漢方薬の薬学博士で、富山の大学院生時代に空手の道場へ通っていた方だという情報だけでした。
その情報を元に大阪へ引っ越しした次の日にさっそく岩井さんのお勤め先のお店に電話で連絡しました。
「もしもし、富山から来ました松浦と申します。初めまして。富山の空手道場の先生の紹介で連絡させて頂きました。これからお店へご挨拶に伺いたいのですがよろしいでしょうか。」
と緊張のあまり受話器の持つ手が少々震えていましたが、岩井さんは優しい声で
「いいですよ。今から来て下さいね。」
と言われお店へ向かいました。ちょうど私が一人暮らしをする場所の近所にお店がありました。お店に入って
「突然すみません。初めまして。松浦と申します。岩井正憲さんはおられますか?」
と聞くと奥から岩井さんが出てこられて
「初めまして。岩井です。話は富山の道場の先生から聞いています。何か困ったことがあったらいつでもご連絡下さい。」
と言って岩井さんの名刺を頂きました。お返しではないですが、手土産に買ってきた富山のお菓子を岩井さんにお渡ししました。
すぐに食事に連れて行って頂き、他業種の仕事の立場から教育につながるいろいろな話をして下さりました。
1本の電話で岩井さんとつなげて頂いた富山の空手の先生に心から感謝しています。
10年越しの約束
その後も岩井さんには、何度もお会いさせて頂き、相談や失敗して落ち込んだ時には励まして頂いたりしました。この大阪の地で今でもお付き合いをさせて頂いています。ちなみに岩井さんには、私のことを「まっちゃん」という風に呼んで頂いています。
いつの頃だったか忘れましたが、岩井さんとお会いしてから間もないまだ学生の頃に
「いつか まっちゃん が教師になった時に無料で講演に行くよ。これは友人としての約束だよ。」
と言ってくれたことがありました。
それが10数年後に約束が実現したのです。
私が勤務していた市の学校保健会の講演会の講師を探していた時、私が岩井さんを紹介させて頂きました。岩井さんにお話をしたところ
「 まっちゃん との約束だから。」
と快く引き受けて下さいました。
そして講演会の当日、講演の終盤で
「今日は、松浦先生との長年の約束で来ました。」
と言ってくれた瞬間、今までの様々なことが思い出されて、感動とともに私の目に涙が浮かびました。
人との約束を大切にするということを私とのつながりを通して教えて頂いた岩井さんに心から感謝しています。
松浦 博孝(まつうら ひろたか)
ほしのむらのがっこう 学校管理者
社会人経験を得て「であい・つたえあい・つながりあい」をテーマに子どもとともに学ぶ子どもから学ぶ教育活動を展開。様々な学びの場へ自分から積極的に参加して常に教育者修行を行う。同時に様々な武道修行も行っているサムライ教育者。
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)