アグネスの教育アドバイス
映画と教育
震災を忘れない
中学３年と１年の授業をしていると
こうも音に対する反応が違うものかと
不思議に思います。
いまの中１は、小学校で英語（聞く・話すのみ）の授業を受けてきたので
"Hello, class. How are you?"といった挨拶のほか
"Stand up. Sit down."くらいの指示は
入学したてで既にわかっています。
更に、記憶力のいい生徒だと
「"How old are you?"って、小学校でやったなぁ」
文法がよくわかっている生徒なら
「じゃあ、『彼女は何歳ですか』は
"How old is she?"って言うんじゃない？」
と、まったく説明もしていないのにわかってしまいます。
★ ★ ★
彼らが知らない単語でも、例を挙げてみると取っ付きやすい。
例えば、『what + 名詞』の疑問文を教えたとしましょう。
"What color do you like?"
"I like red."
このくらいのやり取りはできるようになった段階で
私は女子生徒Ａにこう質問します。
"Well, what TV program did you watch last night?"
一般動詞の疑問文です。しかも過去形が出てきました。
過去形なんて、まだ教えていません！
しかし
女子生徒Ａにしてみれば、whatもTVも知っている単語だし
last nightもまぁだいたいわかる。
you...あなたは、か。自分のことについて話せばいいのね、と
女子生徒Ａは瞬時に判断します。
しっくりこないのがprogramです。
そこで私。
"News? Drama? Variety? Comedy? What TV program?"
ああ、どんなTV番組を見たか、ってことか！ となって
女子生徒Ａは、自分が昨晩見たドラマのタイトルを答える。
答えるけれど、過去形は教わっていないから
"I watch..."
ここで私は「動詞には過去形があるんだよー」と言いながら
watchedと板書。
ああ、edがつくと過去形なのか、と生徒Ａはなんとなく理解して
"I watched 'Monster.'"などと答えられる。
"Oh, you watched 'Moster' last night. So... how to say?"
私は女子生徒Ａを指差しながら
生徒Ｂのほうを向きます。
疑問詞 + 不定詞なんて教わっていないけど、howもsayも知っている。
「ああ、なんて言えばいいか、と質問しているんだな」
と、生徒Ｂは推測します。だから
"She watched 'Moster' last night."などと答えられるわけです。
★ ★ ★
一人一人が答えるだけでは面白くないので
このあたりで対象をクラス全体に広げます。
"If you watched 'Monster,' raise your hands!"
ifの意味がわからなくても、勘のいい生徒は挙手します。
"So, not only "I," right? How to say?"
『Moster』を見たのは１人ではないんだから…と挙手した生徒は考えて
"We watched 'Monster'!!""
私は更に、挙手しなかった生徒へ対象を移します。
"The other students, how to say?"
"They watched 'Moster'!!"
というように、人称を変化させながら
実は過去形の文を音で教えてしまいます。
★ ★ ★
こんな作業を毎授業の初めにやっていれば
英語が苦手な生徒でも「あれ、ちょっとわかるかも」と
思えることが増えてきます。
それで、自信が湧くのです。
★ ★ ★
ただ、これでもまだ足りません。
結局、試験で点数がとれないと
自信は幻のようにあっけなく消えてしまうのです。
だから、言える言葉は書ける、というのが
中学からの英語には不可欠なのだと思います。
わたし "Can you write?"
生徒ら "Yes!!!"
そうは言っても、だいたい裏切られるものです。
繰り返し、着実にやっていこう。
四ツ分 祥子（よつわけ しょうこ）
駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。
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