特に何があったわけでもないのですが
ちょうど中間考査があったので、書いてみたいと思います。
★ ★ ★
考査中、教室は水を打ったように静かです。
生徒たちは1点2点とコツコツ問題をこなしたり
ア~エのどれにするか、天の神様に相談したりと大忙しです。
ところで試験官の教員は
50分間というまとまった時間が流れていくのを
ただ待つしかありません。
教えたことのないクラスであれば
こういう時こそ、と、出席簿を開いて
顔と名前を覚えることもありますし
普段教えているクラスなら
「おや、この子は英語は苦手だけど、社会の問題は生き生き解いているな」などと
小さな発見をすることもあります。
そうして眺めていると、ときどき目がふらふら泳いでいる生徒がいます。
時計を見ようとしたのかもしれません。
なにか思い出すときの癖なのかもしれません。
しかし私には、その判断はできません。
じーっと見ていると、やがて目が合います。
★ ★ ★
以前、大先輩の先生に言われました。
試験監督というのは
ズルを発見したり裁いたりするのが役割ではない。
ズルを防止するのが仕事だ。
「振り向いたら用紙を交換してて……」では手遅れなわけですね。
だから、考査中に落ち着きのない生徒がいたら
「下手なことするなよ」というメッセージを事前に伝えるのです。
監督官と目が合えば「見られている……」と緊張しますから
出来心は引っ込んでしまうでしょう。
(緊張のあまり単語も一緒に引っ込んでしまったら、ごめんなさい)
★ ★ ★
監督中、特に注意すべきなのが
教科担当の先生が見回りにくるときです。
生徒が一斉に顔を上げた瞬間、試験官はここぞとばかりに
生徒を見たほうがいいのです。
★ ★ ★
生徒が「見られていない」と実感し、何かをしでかすというのは
考査に限った話ではないと思います。
努力しても成績が上がらなかった生徒がいたら
何十人のうちの一人だと思わずに
「●●さんは、今回は結果が出なかったね。
でも頑張っていれば、成績はぽんっと上がるよ。もうちょっと辛抱して」
と声をかけると、この生徒は自力で頑張れるのだと思います。
もちろん日頃も、「気にかけている」というメッセージを
伝えてこそ響くのだとも思いますけど。
だから、もしも私の生徒たちがズルを働いたら
それは私が目をかけてこなかったせいなのです。
難しいですね。十分も終わりもないことですから。
★ ★ ★
中間考査が終わり、採点もノートチェックも返却も終わりました。
さあ、これから修学旅行です。

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)
駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。
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