2012.10.22
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試験監督とは

駿台学園 英語科常勤講師 四ツ分 祥子

特に何があったわけでもないのですが

ちょうど中間考査があったので、書いてみたいと思います。

 

 

★ ★ ★

 

 

考査中、教室は水を打ったように静かです。

生徒たちは1点2点とコツコツ問題をこなしたり

ア~エのどれにするか、天の神様に相談したりと大忙しです。

 

ところで試験官の教員は

50分間というまとまった時間が流れていくのを

ただ待つしかありません。

教えたことのないクラスであれば

こういう時こそ、と、出席簿を開いて

顔と名前を覚えることもありますし

普段教えているクラスなら

「おや、この子は英語は苦手だけど、社会の問題は生き生き解いているな」などと

小さな発見をすることもあります。

そうして眺めていると、ときどき目がふらふら泳いでいる生徒がいます。

時計を見ようとしたのかもしれません。

なにか思い出すときの癖なのかもしれません。

しかし私には、その判断はできません。

じーっと見ていると、やがて目が合います。

 

 

★ ★ ★

 

 

以前、大先輩の先生に言われました。

試験監督というのは

ズルを発見したり裁いたりするのが役割ではない。

ズルを防止するのが仕事だ。

「振り向いたら用紙を交換してて……」では手遅れなわけですね。

 

だから、考査中に落ち着きのない生徒がいたら

「下手なことするなよ」というメッセージを事前に伝えるのです。

監督官と目が合えば「見られている……」と緊張しますから

出来心は引っ込んでしまうでしょう。

(緊張のあまり単語も一緒に引っ込んでしまったら、ごめんなさい)

 

 

★ ★ ★

 

 

監督中、特に注意すべきなのが

教科担当の先生が見回りにくるときです。

生徒が一斉に顔を上げた瞬間、試験官はここぞとばかりに

生徒を見たほうがいいのです。

 

 

★ ★ ★

 

 

生徒が「見られていない」と実感し、何かをしでかすというのは

考査に限った話ではないと思います。

努力しても成績が上がらなかった生徒がいたら

何十人のうちの一人だと思わずに

「●●さんは、今回は結果が出なかったね。

 でも頑張っていれば、成績はぽんっと上がるよ。もうちょっと辛抱して」

と声をかけると、この生徒は自力で頑張れるのだと思います。

もちろん日頃も、「気にかけている」というメッセージを

伝えてこそ響くのだとも思いますけど。

 

 

だから、もしも私の生徒たちがズルを働いたら

それは私が目をかけてこなかったせいなのです。

難しいですね。十分も終わりもないことですから。

 

 

★ ★ ★

 

 

中間考査が終わり、採点もノートチェックも返却も終わりました。

さあ、これから修学旅行です。

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)

駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。

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