2012.07.11
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段階的に、好きにさせる

駿台学園 英語科常勤講師 四ツ分 祥子

 「モチベーションは

    自分の中にないと結局ダメなのよ」

先日、学生時代の仲間と会ったとき

そんな言葉から教育について

話が発展しました。

 

★  ★ ★

 

私の周りでは

学校行事、例えば英語劇や合唱祭で

「見に来てくれた保護者のために一生懸命演じなさい」だとか

「友達のために精一杯歌いなさい」という表現が時々出てきます。

私自身、今回の『まなび』への掲載記事について考えていたとき

「試しにひとつレールをひいてみる。

 そうすれば生徒は、物事の進め方をひとつ学んだことになる。

 どんな方法を選ぶかは、高校か大学になったときにできればいい」

という話をしようかと思っていました。

 

★  ★ ★

 

けれど、連日終電で帰宅しているOLに言わせると

「それではモチベーション維持ができない」のだそうです。

理由のひとつに、その不安定感があります。

誰かのために何かをすることは、裏切りの可能性を含みます。

一方、自分の中に強い信念があれば

誰に何を言われようと

自分の判断で妥協し、満足することができます。

目標設定の高い人なら、こういう気持ちの持ちようでも

結果を出すことができるのかもしれません。

 

理由の二つ目は、主体性の欠落にあります。

結局、人になにかを言われてしているうちは半人前であり

立派な大人へと育てていくような教育は

生徒の前にレールなど用意していないのだ、というのが友人の主張でした。

 

★  ★ ★

 

ただなぁ、と私。

中学生をどこまでほったらかしにしたものか。

 

というわけで、現在企んでいるのは

『徐々に』生徒と自分を離していくこと

『時々』放置してみることです。

知らぬ間に、英語劇で少し実践していましたので

書き留めておきます。

初めは、発音が下手でも聞き流しておきました。

考査終了とともに、暗記にのみ専念させました。

一度、徹底的に発音練習してから

登場と退場のタイミングを組み合わせ

やがて演技指導へ・・・という流れで

段階的にステップ・アップしてみたのです。

 

それで、今回の私の最大の企みへ―「生徒自身に演技指導をさせる」。

全員で劇の通し練習を見て、意見交換をするところから始めました。

「もっとこんなふうに演技したらいい」

「もっと声をはっきりとして・・・」

「もっと楽しそうに・・・」など

夢中になって練習している生徒たちからは、いろんな声がどんどん出てきました。

次に、これらを踏まえてグループ練習させました。

「こう動いたほうが格好いいよ」

「こういう立ち位置のほうが演技しやすい」

観客の視線を意識しながら、自分たちで少しずつ改善していきました。

 

★  ★ ★

 

ある程度レールを用意して、頃合いを見て放ってみる。

次回、修学旅行でも実践したいと思います。 

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)

駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。

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