2012.05.30
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ベテランということ

駿台学園 英語科常勤講師 四ツ分 祥子

 現在の学校にやってきたのは昨年度。

ちょうど今頃、年齢としては1年上先輩から

「2年目からはベテランですよ」

と言われました。

なにかの冗談かと思っていましたが

実際、英検の事前指導にしろ運動会の記録係の準備にしろ

自分の作業が遅くていろいろ滞ってしまうという事態が

次々と起こってきています。

一人でこなせる仕事量ではとうていありません。

教員全員が同じレベルで仕事をするのは困難です。

得意不得手がありますし、キャパシティの問題がありますし

情熱を注ぐポイントも違うからです。

が、やるしか道はありません。

 

☆  ☆ ☆

 

私が立ちあがれなくなるのは

きっと生徒に完全に背を向けられて

「この先生に相談しても仕方ないよ」

となってしまったときなのだと思います。

生徒に嫌われるなら、まだ関心があるうちです。

いてもいなくてもどうでもいいような存在になったとき

教員として終わってしまうのだと、最近よく思うのです。

ベテランというのは、仕事がどこまでできるかだけでなく

ゆるぎない個性を持っているか否かも関係するのでは

と考えているのです。

「あの先生ならきっと……」という期待を持てるような教員であること―。

これが、最近の私の目標です。

 

☆  ☆ ☆

 

部活がさかんな学校ではありますから

大会前のいま、顧問の先生に無理を言って

英検の事前指導をしています。

その隙間を縫うように、運動会に向けた係会議や委員会の動きがあります。

倒れそうになるくらい忙しいというのに

私が今回担当している英検受験者たちは

課題を毎日すべてやってきます。講義への取り組みもいいです。

その根底には、今学期始まってからの学年の先生方からの学習指導と

生徒たちが長らく抱いてきた

「ちゃんと学びたい」

という思いがあります。

その生徒たちが今

「先生、この問題教えて」「勉強の仕方、教えて」と言って

近づいてくることは

ひとつの反応なのだと思うのです。

 

☆  ☆ ☆

 

私も倒れそうです。ふらふらです。

ここへきて日曜日に学校説明会などあると、体力的に持ちません。

それでも、生徒にフォーカスするというポイントを外すわけにはいきません。

それがひとつの、私の「個性」だからです。

それに、生徒は見えないところも見ているものです。

こちらの思いを敏感に察します。

そして思いが見えないと

ぷいっとそっぽを向きます。

 

☆  ☆ ☆

 

体育の先生が中心となる運動会練習。

とはいえ、担任も学年付きもふつうサポートに回るので

普段通りに授業のある日よりも拘束時間は増えます。

並行してやらなければならないことも山積みです。

正直、ちょっといなくても大丈夫では、と思っていましたが

本日、担任の先生の代わりに昼食指導をしていたときのことです。

 

生徒A「先生はいいよねー。いつもウンレン(運動会練習の略)見てくれるから」

 

油断することなかれ。

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)

駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。

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