新しい年度となりました。
が、昨年度からひき続き取り組んでいることがあります。
春休みを前に灼熱のやり取りをしたのは
顧問をしている文芸同好会の生徒たちです。
会員4名、うち新高3が2名とあれば
来る新入生歓迎会で何としてでも新入生をGETせねば。
そのためには、よし、新歓用の冊子を作ろう。
というわけで、自宅でのんびりするのもそこそこに
PCに送られてくる生徒たちの原稿をチェックしては
メールで送り返しています。
* * *
私は高校時代に
やはり文芸『同好会』に所属していたのですが
印刷前に顧問に目を通してもらったり意見をもらったりはせず
自分たちでそれなりに推敲を重ねていました。
そのせいか、製本作業が終わったときには
言いようのない達成感を抱いたものです。
* * *
作品というのは、いわば粘土の塊で
こねくり回しながら原型が見えてきて
印刷3日前にもなればゾウのような形だとわかりますが
どんな耳の形をしていて、どんなふうに鼻を動かしているのかはまだ不鮮明です。
個性が出来上がっていないのです。
だから、印刷前の作品に他人が口出しするのは解せない、と思っていました。
* * *
ところでうちの文芸メンバーには
自力で完成度を高めることがなかなか難しいらしいのです。
長々と物語を綴れる生徒は多いのですが
制限された字数のなかで、言葉を取捨選択して整えていくことが始められない。
そして、論評会で発表した作品について
「時間がなかった」「ここは、どう展開するか迷っていた」と
言い訳は出てきますが、主義主張はない。
生き物のような形をした粘土で、細長い部分があるが
それが首なのか鼻なのかまだよくわからない、といった具合です。
* * *
個性は尊重するものではなく『作っていくもの』だと言います。
それなら教員の立場からもっと口出ししても良いかなと
カタカタ意見を述べては返信してみることにしたのです。
文芸同好会を名乗るなら
恋愛小説や冒険小説の中に『自分らしさ』を書けるようにして
来年の今頃、送り出したいです。

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)
駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。
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