2012.03.23
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考えたの俺ですけどね…

駿台学園 英語科常勤講師 四ツ分 祥子

中学3年の学年付きとして
非常勤時代よりずっと生徒といる時間が増えた一年が
ついに終わろうとしています。
中高一貫とはいえ、外部に進学する生徒もいるので
卒業式はやっぱり、別れの儀式です。

* * *

一年目なのでまだまだわからないことが沢山あります。
わが校の生徒にとって
卒業式はどちらかというと形式ばったイメージがあり
むしろその前に開かれる「三送会」のほうが大切なようです。
各学年で、連日練習した歌を披露し合い、宴もたけなわという頃、
「それではここで、卒業生から先生方へのお礼です」
という具合に『お世話になった先生たち』が一人ずつ舞台に呼ばれました。
2番目に呼ばれた私、BGMは宇多田ヒカルでした。
以前、私が好きだと言っていたので、流してくれたようです。
こういう場で”Prisoner of Love”をチョイスするとは、なかなか……。

*       * *

舞台で私を待っていたのは
授業中いつもふざけて怒られっぱなしだった男子生徒A。
おもむろに手紙を取り出すと
引率した京都の班別行動や授業での鬼っぷりを振りかえりました。
では先生から一言、と言われた私はすっかり舞い上がっていて
「みんな、今日の歌が一番良かったよ!」
と、本当に一言で済ませてしまいました。
あとで呼ばれた先生方は、3年間の思いをゆうに2、3分は語っていたので
「あちゃー」
と後悔。

*       * *

あとでゆっくり手紙を見返すと
びっしり綴られた思い出の最後に
男子生徒AとBの名前が。
よくよく見ると、手紙の文字は生徒Bのものでした。

手紙の内容をAが考え、字のうまいBが書いたのかな。

小さな疑問を残したまま、事実上の卒業式は終わりました。
そして本物の卒業式に向けて、怒涛の数日間が過ぎ、
あっと気づいたときには謝恩会後の二次会が終わっていました。

*       * *

ところで、ここは中高一貫校。
高校へ上がる生徒は、卒業式の翌日も部活動でやってきます。
「やあ、先生」
と、男子生徒C。なぜか懐かしく感じるけれど、気のせいですね。
「あのさあ、先生の手紙、俺も書いたんだよ」
「ええ?」
話を聞くと、AとBが何を書こうか悶々としていたので
通りがかりのCがアイディアを出したとのこと。
「だから、前半は俺が考えたの」
何日も経ってから、このアピール。
「AとBが連名で載せてきたんだから、Cも一緒に載せればよかったのに」
「いやー、でもぉ」
近づきたいけど近づけない。
中学生って、そんなお年頃です。

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)

駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。

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