2012.02.10
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段階を踏む 役割を与える(対話の実践)

駿台学園 英語科常勤講師 四ツ分 祥子

英語科の資料室では

教科書や問題集のサンプルが山になっています。

その間に

ペラリと一枚紙がはさまっていました。

何の気なしに眺めてみると

まったく同じ文章を使って

穴埋め問題にしたり

穴埋め部分をさらに増やして問題にしたりしながら

徐々に難度を上げていました。

「そうか、同じ文でいいんだ!」

 

* * *

 

早速、中学3年生用にプリントを作ってみました。

教科書に載っている基本文4つをもとに

選択問題

穴埋め1つの問題(日本文付き)

並びかえ問題(日本文付き)

穴埋め2つの問題(日本文付き)

並びかえ問題(日本文なし)

英作文(ヒントあり)

英作文(ヒントなし)……などなど。

 

簡単すぎかもしれませんが、もしかしたら

底上げのためには効果的かもしれません。

最終的に英作文ができれば

自信にもつながります。

うまく働きかけられると良いのですが。

 

* * *

 

「段階を踏むことさえ守っていれば

『できないよぉ』が減るかもしれない……」

 

というわけで、本日の授業では

AさんとBさんの対話を丸暗記させてみました。

初めに、いつも通りの練習。

「あとで、皆の前で発音してもらうからね!」

とプレッシャーをかけてから。

 

わたし「Repeat after me!」

 教科書を見ながら、教員の後につづけて発音。

わたし「Look up and down!」

 教科書を見て、見ないでを繰り返しながら、教員の後につづけて発音。

わたし「はーい。ではここでペアになりましょう。

じゃんけんをして、Aさん役かBさん役かを決めます。

ただし、英語で」

みんな「えー!」

みんな「Stone Paper Scissors!」

 じゃんけんぽん! と、ちょっと遊んでみる。

わたし「Aさん役の人は教科書を見て、Bさん役は見ないで!」

 口ごもったらAさん役がヒントをあげる。

わたし「Bさん役の人は教科書を見て、Aさん役は見ないで!」

 口ごもったらBさん役がヒントをあげる。

わたし「Aさん役もBさん役も、教科書を見ないで!」

 たいてい、どちらかが内容を覚えている。

 または

 他のペアの会話がヒントとなるので

 最後まで発音できる。

わたし「はーい、ではここで代表者、○○、○○、stand up!

教科書を見ないで対話してみましょう。

他の人は、2人が困っていたらヒントを出してあげましょう」

 

こうして、それなりに「対話」が完成しました。

意外だったのは、どの生徒をあてても

ひと通りのやり取りをこなせたことです。

この出来栄えはひとえに

生徒たちが短時間に集中して練習したためのような気がします。

 

* * *

 

段階を踏めば、そして手助けがあれば、生徒は

「なんだ、できるじゃん。じゃあ次もいけるかな」と思えます。

それから

今回、アクティビティーが中だるみせずに形になったのは

それぞれの生徒に

うまく役割を与えられたからかもしれません。

人前で話す側にはプレッシャーがかかります。

それを聞く側には、ヒントを出すという優越感にひたりながら

二人の対話に自然と耳をかたむける必然性がでてきます。

聞かれているとなれば、話す側は間違えないように発音します。

相乗効果です。

 

* * *

 

非常勤2年と、今年1年―。

ベテラン先生にはド基礎のようなことを、私は今更学んだわけです。

明日もなにか学べたら、と思います。

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)

駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。

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