2012.02.07
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広報担当者へ贈るライフハック

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

以前「入試広報」というタイトルで学校の広報スタイルの独特さをお伝えしました。今回はその続編、広報の具体的な方法を少しだけ書かせていだだきます。広報の担当者になって約10年、責任者になって3年が経ちました。当初は生徒募集セクションの一員として、後半は独立した広報の部署で試行錯誤の繰り返しでした。その中で、「地方都市にある私立学校」という狭い範囲ですが、広報のノウハウを蓄積してきたつもりです。その中で、「マスメディアに自校のニュースを紹介してもらう」方法を紹介します。

 

ここ数年、1年間で新聞で約100回、テレビで約20回ほど本校の話題がニュースとして取り上げられるようになりました。そのほとんどがローカルニュースですが、この数字は岡山県内ではナンバー1ではないかと自負しています。

 

マスメディアにニュースとして取り上げてもらうには、広報担当者が受け身ではいけません。「うちの学校ではこんなことしてますよ!」というニュースリリースを積極的に発信していきましょう。まずは校内のニュース探し。「学校の常識は社会の非常識」。大いに結構。これはそのまま「学校の当たり前は社会ではニュース」という見方に繋がります。あなたの学校だけのオンリーワンは意外と目の前に転がっているかもしれませんよ。しかしマスメディア担当者には、学校だけでなく色々なところから毎日膨大なリリースという売り込みが舞い込みます。残念ながら無視されてしまうことも多々ありますが、めげずに発信し続けてください。

 

それでは、無視されにくいリリース方法を紹介します。キーワードは「はじめて」と「キリ番」。「はじめて」は字の通り、「新しいことやってます」、「新発見!」と言ったネタ。記者は常に「新しい」ことを追い続けていますので、リリースのリード文にそういった言葉を散りばめてみてください。「キリ番」は、毎年同じような行事ニュースでも、「今年で20回目」といった周年ものや、「100年続いてます」といった他にはマネできない揺るぎない伝統モノ(これが本校の場合特に強い!)が該当します。

 

リリース発信の際、いきなり「全国ニュースになってウハウハだぜ!」という欲は捨ててくださいね。学校広報の場合、ローカルニュースで十分です。なぜなら、学校は商圏がローカルだから。たまにローカル発のニュースが全国に飛んでいくこともありますが、これはこちらが狙ってもうまくいくことは少ないですし、全国1本獲得する労力をローカル10本採用に使うほうが費用対効果は高いです。

 

さて、学校現場で広報だけが仕事だという広報担当者は少ないです。中には広報担当教頭を置くところもありますが、人員に余裕のある大規模の特権です。多くは教科指導や担任業務との兼務の中で仕事をしていることでしょう。そうなると、担当者はニュース作りばかりやっているわけにはいきません。ではどうすればよいのか?

 

教員全員が「広報マン」になってもらえばよいのです。一般的な広報関係のハウツー本には「情報統制のために広報窓口の一元化を」と書かれていることが多いのですが、学校では必ずしもそうではありません。取材にいつも広報担当者が同席できるとは限りませんし、取材対象が極めて専門的な場合、広報担当者よりも当事者の先生が記者対応する方がスムーズです。教員全員が「広報マン」になってもらうには、「ニュース探ししましょう!」という広報担当の日ごろからの啓発活動が不可欠になりますが、うまくいけば結果として広報担当の負担軽減につながります。

 

私の場合、取材を受けるかどうかはそれぞれの先生にお任せしています。最終的にニュースになれば成功。時として「さっき、あんな取材を受けてきて、明日の新聞に載るよ!」と事後報告の場合もあります。このような形でもいいと思います。変に「広報担当だからすべての情報を私に!」という風にがんばりすぎるとかえってうまくいかないと思います。

 

もっと泥臭いノウハウも色々とあるのですが、今回はこのあたりで・・・。地方の広報担当の先生方、がんばってニュースを発信して自分の学校を目立たせてください。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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