前の勤務先は女子校でした。
バレンタインデーに部活の先輩・後輩の間で
手作りの逸品を交換する習慣があり、
教員もその流れて1つ2つゲットできました。
プチ自慢ですが、私の昨年の収穫は8個。
もちろん、もらってばかりではいけないので
お返しにチョコレートの焼き菓子を人数分そろえて
メッセージシールをつけて
ホワイトデーが近づくのを待っていました。
そんな中で3月11日を迎えました。
私は、焼き菓子を抱えて学校を去りました。
* * *
あれから1年近くが過ぎ
昨年度のことなど振り返る余裕もなく年を越しました。
ある日、実家の母から電話がありました。
なんでも、私あてに年賀状が届いたというのです。
「先生、お久しぶりです」
で始まるその便りは
なんと、バレンタインのプレゼントをくれた生徒の一人でした。
そう、この子は……
出勤時に偶然会って、私の実家と彼女の家がとても近いことがわかり
後日、ついに私の住み家を見つけ出したのでした。
返事の手紙に私の携帯のアドレスを添えて送ると
早速メールが届きました。
そのメールには、彼女の進学先が決まったこと、最近入学の課題などで忙しいことなど
生き生きと生活しているふうがうかがえました。
けれど彼女は、長々と自分のことを語りはせず
「またお手紙でお話ししたいと思います」
と、きっちりした文章を送ってきました。
* * *
現在の勤務先で、水曜日に中学全体の集会がありました。
そこで、ある先生から3年生に向けて
こんな話がありました。
「先生たちは『ありがとう』や『お疲れ様です』という
言葉を求めているわけではない。
生徒一人ひとりが自分の成長を見せることが
先生たちへの感謝を表すことになる」
* * *
私などが「成長」というと
ちょっと上から目線のようで偉そうなので
私は好んで「変化」と言います。
* * *
思いついたらパッと
誰とでも連絡がとれる現代です。
一文字一文字を手で書いて
私のために伝えようとしてくれる彼女に
「ちゃんと一年、変化を遂げてきたんだなぁ」と
思わずにはいられません。

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)
駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。
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