2012.01.10
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

視聴覚教育と情報教育

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

自分の勤務する学校には「視聴覚教育係」という分掌があり、その責任者を何年か務めています。何年間かやってみて、どうも「視聴覚教育」という言葉が時代に合わなくなってきているのではないかと思い始めました。

 

視聴覚教育係の仕事は、放送機器の点検・管理、視聴覚教材の整備の2つに分けられています。前者は、行事の際にマイクを準備したり、BGMを流したり、CDデッキを管理したり、と所謂「音」に関する雑務全般で、地味ではありますが、一応学校運営の重要なポジションのひとつと認識されています。後者は、ビデオテープや音声教材の管理及びそれら教材を使った授業実践の提案などの役割を持っています。

 

さて、本校には、視聴覚教育とは別に情報教育のセクションがあります。パソコンやデジタルカメラなどの管理、ICTを使った授業の提案などが主な仕事です。

 

あれ?この2つの部署、使う道具が違うだけで仕事内容はそっくりだぞ?なんとか仕事を統合できないものなのでしょうか?

 

「視聴覚教育」というのは「情報教育」が幅をきかす以前は学校の花形部署であったと聞いています。テープレコーダー、テレビ、OHP、1980年代に入るとビデオの導入。常に時代の最先端を行く道具を教材として先生方に提供し、その担当者は潤沢な予算権限を持ち、管理職といえども視聴覚教育係の意見には逆らえない・・・。そのような状況だったようです。

 

ところが1990年代以降、教育のデジタル化が推進され、教育現場に新しい風が吹き始めました。その主導権を握ったのが、従来マニアックな領域であった情報処理教育系の先生方だったのです。コンピュータの大衆化とインターネットの普及は、彼らを表舞台へと押し上げ、学校の花形部署を視聴覚教育から奪っていったのです。もう「ICT」と聞くだけで何か未来のことをしていると思いこませる迫力、それはかつての視聴覚教育の隆盛そのままです。

 

情報教育の勢いに押された視聴覚教育側方も負けてはいません。デジタルコンテンツを活用した教材の提供などを積極的に行っており、注目すべき実践例も数多くあり魅力的なのですが・・・。どう見ても、視聴覚教育と情報教育、やっていることが被っています。

 

県の教育研究会には、国語や数学といった教科教育部会の他に「情報教育部会」と「学校視聴覚部会」というセクションが並んで存在しています。同じ仕事内容であってもそのセクション起源が違うと中々統合させるのは難しいようです。

視聴覚教育と情報教育、合理的な校務運営のためにも2つのセクションの統合は急がなければいけません。

 

最後に独り言。本校の情報教育の責任者らしい仕事を私は持っています。早く、視聴覚教育の顔、情報教育の顔という「2つの顔を使い分ける」のではなく、「1つの顔」で仕事をしたいものです。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop