2011.12.27
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岡山には岡山文庫がある

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

岡山文庫 

岡山は郷土本の出版が盛んな地域です。多くの書店には郷土本コーナーがありますし、岡山の郷土本に特化した出版社が複数あります。その中で岡山の郷土本の雄とも言えるのが「岡山文庫」。1964年から年4巻(現在は年6巻)コンスタントに発行を続け、創刊から47年経った2011年12月現在、274巻がラインナップされています。

 

私はこの岡山文庫が大好きで高校生の頃から図書館で読み漁り、特に気に入ったものは書店で購入していました。また、学校の図書館には全巻揃えてあり、郷土をテーマとした調べ学習に使う教材の定番になっています。

 

岡山文庫は「一冊一冊が百科事典の一項目になるように」とのコンセプトで企画され、そのテーマは自然、歴史、人物紹介、路上観察、観光案内などなど岡山に関することであれば何でもあります。「岡山の植物」「岡山の酒」「吉備津神社」といったオーソドックスなテーマから、「岡山の奇人変人」「岡山の流れ橋」「岡山の鏝絵」というマニアックなもの、そして「岡山の中学校運動場」「岡山の花粉症」という極めてユニークなものまでが真面目に出版されています。

 

出版不況と言われて久しいですが、なぜ岡山文庫はニッチなテーマを長年にわたって出版し続けることができるのか?その秘密は、「会員制」という販売スタイルにあります。

 

岡山文庫は書店でも購入することができますが、基本は会員への頒布という形をとっています。このことにより、どのようなテーマの本を出しても会員の数だけ一定部数出すことができるのです。しかし、ここ10年は会員の高齢化が進み、その数も減ってきているそうです。会員数の減少は商業ベースで考えればかなりのピンチです。

 

先日、岡山文庫の編集長の方とお話をした際にこんなことを言われました。

「私たちの出す本は、インターネットに載っているようなことはひとつもありません。著者のひとりひとりが長年にわたる地道な研究の成果を発表しておられます。その内容の深さには絶対の自信があります。」

 

「岡山には岡山文庫がある」これは岡山文庫のキャッチコピーです。郷土の文化を支える意気込みが力強く感じられます。岡山文庫からベストセラーが生まれることは難しいかもしれませんが、郷土岡山を知るための本物の「良書」がここにあります。

 

これからも岡山文庫が300巻、50年と続くように私は応援し続けていきます。

写真は岡山文庫全274巻

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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