「見渡せ」
前の勤務地で
職場の先輩が大切にしていた言葉です。
生徒全員が、授業を聞いていないように思えても
こちらを向いている一人のために
授業を続けろ、という
自分への励ましの言葉です。
実際には
教室中を見渡して、その「一人」に向かって授業をしても
根本的な解決にはなりません。
ただ、教員にとって
焦点を合わせられる生徒がいれば
授業がしやすくなることは事実です。
★ ★ ★
同じことが生徒にも言えます。
わかりやすい目標を一つ設定すれば
生徒も勉強しやすくなるわけです。
この目標設定について、あれやこれやと考えたあげく
最近になって
これは一番わかりやすい!
と思った看板は「英検合格」でした。
★ ★ ★
来月に行われる今年度第二回目の試験にむけて
そろそろ対策が始まります。
放課後に対策を実施しようにも
文化祭で再演する英語劇の練習や委員会活動、
教員会議などがない日となると
かなり限定されてきます。
生徒それぞれにも塾やら何やらがあります。
それでも、どうにか都合をつけて付いてきてくれる生徒がいます。
それも一人や二人ではなく
英検合格を目指す一つの塊でやってきます。
しかも、塊になった彼らは、私にとっては一つの大きな焦点なので
私にとってもとても教えやすくなります。
★ ★ ★
英検合格なんて、ベタな目標ではありますが
「受験」と「合格」とでは、大きな違いです。
というのは
受験を目指す生徒にとっては
過去問を解いたときに正答したことが関心事ですが
合格を目指す生徒には
解いた後の「間違い潰し」が大切になるからです。
間違いから得られるものがあるとわかれば
生徒はどんなに×をくらっても
心折れることなく取り組んでくれます。
★ ★ ★
一度動き出せば、生徒は一人でも意欲的に勉強していけます。
結局、生徒のやる気に勝る武器はありません。
私は私で
焦点となる生徒を、個ではなく一つの「塊」に保ちながら
生徒たちの心をぐっとこちらに向け続けたいものです。

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)
駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)
「教育エッセイ」の最新記事
