2011.09.26
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日台語学協働学習と日本語の簡素化・国際化へ

河内長野市立美加の台小学校 指導教諭 梅田 昌二

  
 平成22年11月5日(金)台湾の高雄市にある河濱国民小學との初めての交流授業が行われた。英語での自己紹介をおこない、趣味や家族についての情報交換をおこなった。驚いたのは、台湾の子どもたちのとても流暢な発音での英語会話である。一方、日本の子どもたちは、メモを見ながら、たどたどしい口調で発表をしていた。残念ながら、英語能力の違いは明らかだ。救われたのは、そんな状況の中でも、両校の子どもたちは交流を楽しんでくれたことである。現在、オーストラリアの学校との日豪語学協同学習を定期的に行っている。それだけでなく、アジアの子どもたちとの交流も英語学習としてプログラムしようと努力している。
 
 取組の中で「外国語軽視」は国を危うくする。そんな思いを、最近強く感じている。日本ほど外国語教育を中途半端にしている国は珍しい。多くの先進国では、外国語を初等教育の段階でしっかりと取り組んでいる。特に東アジアの国々では、英語教育を10年以上前から真剣に取り組んでいる。そのような背景がこの日の日台交流授業に明確な差としてあらわれていた。日本人の英語能力の低さはTOEFLのテストなどでもよく知られている。最近、ようやく企業においても英語の重要性を認識して「社内公用語」の動きが出始めている。経済活動を支える上でも英語は益々重要な時代になっている。
 
 しかし、日本の教育現場には小学校での英語教育に対して、まだまだ否定的な考えもある。日本語も満足でない児童に英語は、学習活動に混乱をきたし、英語嫌いを増やすだけだ。そんなを意見を耳にする。しかし、アジアの多くの子どもたちは母語とともに英語を学んでいる。韓国も台湾も英語学習のために、児童が学習に混乱をきたしている事実はない。英語嫌いが増える増えないは、授業の進め方による。ただ言えることは、確かに日本の教育行政の姿勢には問題がある。予算や教師の都合に合わせて、外国語活動を計画している。これでは、十分な英語の力を育てることは難しい。次の指導要領の改定にあっては、本気になって子どもたちのために英語教育の環境を整えてほしいと願っている。
 
 英語圏の国でも外国語教育は熱心だ。ありがたいことに日本語を初等教育において学んでいる国も多い。特にオーストラリアでの日本語学習熱は高い。その日本語を指導される先生からお話である。日本語学習で一番苦労するのは漢字学習とのこと。確かに日本人でも漢字を正しく使いこなすことは困難だ。テレビで、看護師の資格をとるために留学されているインドネシアの生徒さんも、同じことを話されていた。そろそろ、日本語のあり方を考えるべきではないだろうか。中国が識字率を上げるために「簡体字」を公式に定めたように、日本語をもっとシンプルしてはどうだろうか。漢字の使い方にしても、意味の許容範囲を広げ、神経質にならず安心して漢字を使えるようにする。そうすれば、日本人も国語学習の時間を他の学習に利用することができる。また海外の人も日本語学習に取り組みやすくなり、日本語の国際化が進む。国際交流授業を実践する中で、そんな思いを強くする昨今である。
 
 最後に半年にわたり、愚見・拙文を発表する場をご提供いただき、本当にありがとうございました。この場をおかりして、お礼申し上げます。今後も微力ながら教育の国際化と情報化に向けて、精進を重ねたいと思います。それでは、これで失礼いたします。みなさん、本当にありがとうございました。

梅田 昌二(うめだ しょうじ)

河内長野市立美加の台小学校 指導教諭
10年前の2001年1月に韓国交流校を訪問、その先進性に驚嘆。以後、学校の情報化と国際化に微力ながらも悪戦苦闘の日々を継続中。

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