2011.09.12
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開発途上国との交流授業で学ぶ「脱甘教育」

河内長野市立美加の台小学校 指導教諭 梅田 昌二

   

ネパールとの交流授業

 平成22年2月17日(水)ネパールのカトマンズと繋いだ交流授業が行われた。ネパールとは2時間の時差があり、開始時刻の午前11時45分はネパールでは午前9時45分だ。授業ではお互いに簡単な英語での自己紹介が行われた。ネパールの子どもたちはとても英語が上手である。そのあと質問会やジャンケンゲームでお互いに楽しんだ。またネパールからは民族楽器に合わせて歌や踊りも紹介していただいた。この授業はネパールから来られている英会話のモヒニ先生に、英語とネパール語で通訳をしていただいた。ネパールは「後発開発途上国」で途上国の中でも、国民生活は特に厳しい状況にある。インターネット環境や電力事情も、不安定だ。そんな中で、交流授業ができたのは、モヒニ先生のご主人がネパール陸軍の幹部で、その支援を受けて軍の施設を利用させていただいたからである。授業では、お互いの生活についての情報交換も行った。日本では電気・ガス・水道などのライフラインがあたり前の状態だが、ネパールではそうではない。そのことを知って日本の児童が質問タイムで「夜、電気のないときにはどのようにして勉強していますか」と問いかけた。するとネパールの生徒がランタンを見せて「これを使って勉強しているよ」と語ってくれた。日本の子どもたちにとっては大きな驚きだった。恵まれた生活の中で、あたり前と思っていた自分たちの甘えと我が儘を見直す良い機会になった。

モロッコとの交流授業

  平成22年10月13日(水)モロッコからのJICA遠隔授業が行われた。この授業は河内長野市立長野中学校からJICA現職派遣教師として、2010年の6月からモロッコに赴任されている札場先生によるものだ。この授業には、現地のモロッコ人中学校教師と小学校教師のご夫婦が深夜にもかかわらず参加していただいた。授業では、モロッコの生活や学校について教えてもらった。2人のモロッコの先生は日本語も入れながら楽しくお話をしていただいた。とても有意義な遠隔授業になった。授業の中で、見せていただいた「本のない図書室」、体育の授業で使う「手作りボール」など日本の子どもにとっては、考えられないことである。特に驚いたのは小学校でも成績によって、落第させられるという事実です。上右端の楽しく友達と一緒に写真に納まっている背の高い真ん中の生徒は、本当は1つ上の年の生徒である。

 日本の教育現場は、あまりにも甘やかしすぎ「自分たちは何をしても許される」といった間違った考えを 子どもたちに持たせてしまった。そんな考えで、義務教育を我儘放題で過ごさせ、厳しい社会に送りだせば当然、現実逃避といった「引きこもり」や「自殺」へと繋がっていく。世界第5位という自殺率になる背景には、日本の「甘やかし教育」にも大きな責任があるのでは・・・。

 日本の教育再生には、モロッコのように「落第制度」など義務教育段階でも厳しく適用することが必要だ。子どもたちにも「してはいけないこと」・「しなくてはいけないこと」をきちんと目に見える形で示す必要がある。そのルールに従わなければ、当然、社会にも学校にもペナルティがあることを学ばせることが大切だ。「やりたい放題」「言いたい放題」の今の公立学校では厳しい現実社会での「生きる力」を学ばせるのは困難だ。本当に子どもの将来を思うなら、そろそろ我儘な行動への抑止力になる手立てが必要な時である。私が小学生のときは、軍隊がえりの厳しくも優しい先生がしばしば「愛のゲンコツ」をイタズラざかりの頭に落としてくれた。それが行動規範となり、我儘を抑える大きな抑止力になった。今それが許されないのなら、きれい事の教育理論でなく、抑止力となる「脱甘教育」を実施すべきである。家庭の教育力の低下した都市部の公立学校で勤務する教師の嘆きに近い提言として・・・・。

梅田 昌二(うめだ しょうじ)

河内長野市立美加の台小学校 指導教諭
10年前の2001年1月に韓国交流校を訪問、その先進性に驚嘆。以後、学校の情報化と国際化に微力ながらも悪戦苦闘の日々を継続中。

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