日食についての日韓協同学習
2002年7月12日(金)大阪教育大学にある天文台と韓国の錦橋初等学校、そして私の勤務していた河内長野市立南花台東小学校とを結んだ初めての国際天文遠隔授業が行われました。この授業の講師は大阪教育大学に留学されていた韓国梨花女子大学の文先生です。彼女は日本語も英語も堪能な国際人で、この授業では日本語と韓国語でお話をしていただきました。授業ではちょうどこのころ東アジアで日食があり、その日食のでき方について丁寧に教えていただきました。また太陽の黒点やコロナを大阪教育大学天文台の望遠鏡を利用して子どもたちにリアルタイムで見せていただきました。またこの天文遠隔授業へのご支援ご協力をいただいたのは大阪教育大学の横尾教授や大学院生の沖園さん(現在鹿児島大学教育学部附属小学校教諭)たちの研究グループです。本当に感謝しています。この授業で強く感じたことは、韓国の子どもたちの学習意欲の旺盛なことです。質問時間のほとんどが韓国の子どもたちの質問で終わりました。日本の子どもたちとは授業への意欲や姿勢に大きな違いがあります。ある研究会で聞いた話ですが、知識を詰め込むことを中心に行われてきた日本の学校教育では、児童生徒の疑問や考えを育てる時間はあまり考慮されなかった。それが日本の子どもたちの考える力や疑問を持つ力が乏しい原因である。そのお話に対して素直に肯けるシーンでした。
情報化された社会では、知識を頭の中に蓄積させることにあまり大きな意味はありません。むしろさまざまな機器やメディアにある知識・情報を適切に活用できる知恵こそが、ますます必要になってきていると思います。その意味で日本の受験制度も知識偏重ではない基準制度が必要だと思います。そうでなければ知識を持て余した生活力のない人間ばかりが増えるのではないかと危惧しています。21世紀をたくましく生きる力を育てる教育への改革をもっと真剣に考え直さなければ、日本の子どもたちの悲劇は今後ますます日本の悲劇に繋がっていくように感じています。それはともかく最後のお礼の音楽演奏において、韓国の子どもたちの素晴らしい歌声も強く印象に残った国際天文遠隔授業でした。
太陽高度の国際天文遠隔授業

梅田 昌二(うめだ しょうじ)
河内長野市立美加の台小学校 指導教諭
10年前の2001年1月に韓国交流校を訪問、その先進性に驚嘆。以後、学校の情報化と国際化に微力ながらも悪戦苦闘の日々を継続中。
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