2011.04.25
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韓国交流校、私立だけでなく公立も・・・・

河内長野市立美加の台小学校 指導教諭 梅田 昌二

   

韓国の公立小学校への訪問

2001年1月に訪問した韓信初等学校は私立だった。日本でも私立の中には進んだ教育機器を導入し、すばらしい教育環境で授業を行っている学校は少なくない。そんな思いから翌年2002年3月にはソウルにある公立の陶谷初等学校に訪問させていただいた。まず到着して驚いたのはホテルのロビーのような立派な玄関だ。そこにはたくさんの図書とソファーがおかれていて、壁には子ども達の写真が立派な額縁に入れられて飾られている。聞けば読書量の多い児童を顕彰しているとのこと。さらにびっくりしたことは清潔なトイレにも椅子と図書がおかれていたことだ。徹底して読書指導を行い少しの時間でも子どもたちが本を読める環境を整えている。

普通教室に入ると1年生のクラスではインターネット教材を活用した授業が行われていた。大型提示装置に映し出された画像を見ながら先生が子どもたちに指導している。パソコン教室では3年生が文章作成の学習をしていた。驚かされたのはその文字入力の速さである。日本の小学校ではようやく2人に1台のパソコンが整備されだした頃である。韓国の徹底した読書教育とコンピュータ活用能力の育成には私立も公立もなく国を挙げて取組んでいることがよく分かった。

民間の力を学校現場で

さらに信じられない話を聞いた。それは放課後にパソコン教室で民間の指導者による有料のパソコン教室が開かれているとのことである。公立の学校施設を利用して民間の力でコンピュータ活用教育が行われているのだ。日本の柔軟性に欠ける教育施策からはとても考えられないことである。しかし高価な機器が使われずにほこりをかぶっている現状と、学校教育だけでなく放課後は民間による指導の場があるのと、どちらが子どもたちのためになっているのかは分かりきった話である。韓国との学力格差が大きくなってきた背景にはこのような現実がある。日本には「教員免許がないICT支援員が授業をするのはおかしい」そんな意見を述べる教員がいる。しかしその先生はパソコンの起動終了すら満足にできず、一人ではパソコン教室に子どもを連れて行けない。おかしいのはどちらか。教育は「子どもの未来」のためにあるべきで、教師の面子や縦割り行政の原理原則のためにあるものではない。そんな思いを強くした9年前の韓国公立学校の訪問だった。

梅田 昌二(うめだ しょうじ)

河内長野市立美加の台小学校 指導教諭
10年前の2001年1月に韓国交流校を訪問、その先進性に驚嘆。以後、学校の情報化と国際化に微力ながらも悪戦苦闘の日々を継続中。

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