2011.04.22
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大人扱いするということ

駿台学園 英語科常勤講師 四ツ分 祥子

新入生と合宿に行きました。

この合宿は、教員が生徒に

「これから大人として接していくよ」

と宣言する場です。

時間を守れ、

集団行動をみだすな etc…

生徒にとっては

厳しくも大きな第一歩となったでしょう。


 

★ ★ ★


 

『大人扱いする』とは、どうすることでしょう。

学生時代、ある教授が

映画『千と千尋の神隠し』を取り上げて

「子供は

往復切符を手に入れたとき

初めてもっと遠くまで行ける」

と話していたのを思い出します。

当時は、何となく理解した気になっていましたが

今、振り返ってみると

その本当の意味を知ったのは

今春、一人暮らしを始めてからのような気がします。

 


★ ★ ★

 


家を出る日が近づいていました。

居間に寝そべっていた父が

突然、滑稽な調子で言ったのです。

「ダメだぁ、と思ったら、さっと帰っておいでよ」

それは、父なりの『大人扱い』でした。

教授の言葉と父の言葉が重ね合わさり

私は、もう引き下がれないなと思いました。


 

★ ★ ★


 

学び方は変化します。

手とり足とり学ぶ時期があり

教えてくれる相手に逆らいたくなる時期があります。

そして、自立していきます。


いざ、巣から離れるときを迎えたら

必要なものは多少の体力と

「帰ってこられる場所」だなと実感したわけです。

その「場所」は家庭かもしれないし

友達との輪かもしれないし

学校かもしれないし

一人の教員かもしれません。

帰る所があれば

心が折れてもきっと自力で治せるし

行き先を見失っても藻掻き続ける根性がわいてきます。

いつまでも凹んだままでいることは

きっとないのです。


 

★ ★ ★


 

最終的に

教員として、生徒を『大人扱い』するということは

彼らが

どこまでも遠くへ、いろんなものを見に行って

いろんな人や空気に触れたあとで

「こんな面白いものを見つけたよ」

と言うために

帰ってこられる場所の一つになることかもしれません。

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)

駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。

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