新入生と合宿に行きました。
この合宿は、教員が生徒に
「これから大人として接していくよ」
と宣言する場です。
時間を守れ、
集団行動をみだすな etc…
生徒にとっては
厳しくも大きな第一歩となったでしょう。
★ ★ ★
『大人扱いする』とは、どうすることでしょう。
学生時代、ある教授が
映画『千と千尋の神隠し』を取り上げて
「子供は
往復切符を手に入れたとき
初めてもっと遠くまで行ける」
と話していたのを思い出します。
当時は、何となく理解した気になっていましたが
今、振り返ってみると
その本当の意味を知ったのは
今春、一人暮らしを始めてからのような気がします。
★ ★ ★
家を出る日が近づいていました。
居間に寝そべっていた父が
突然、滑稽な調子で言ったのです。
「ダメだぁ、と思ったら、さっと帰っておいでよ」
それは、父なりの『大人扱い』でした。
教授の言葉と父の言葉が重ね合わさり
私は、もう引き下がれないなと思いました。
★ ★ ★
学び方は変化します。
手とり足とり学ぶ時期があり
教えてくれる相手に逆らいたくなる時期があります。
そして、自立していきます。
いざ、巣から離れるときを迎えたら
必要なものは多少の体力と
「帰ってこられる場所」だなと実感したわけです。
その「場所」は家庭かもしれないし
友達との輪かもしれないし
学校かもしれないし
一人の教員かもしれません。
帰る所があれば
心が折れてもきっと自力で治せるし
行き先を見失っても藻掻き続ける根性がわいてきます。
いつまでも凹んだままでいることは
きっとないのです。
★ ★ ★
最終的に
教員として、生徒を『大人扱い』するということは
彼らが
どこまでも遠くへ、いろんなものを見に行って
いろんな人や空気に触れたあとで
「こんな面白いものを見つけたよ」
と言うために
帰ってこられる場所の一つになることかもしれません。

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)
駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。
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