2011.04.19
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学校らしい学校

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

昨年度末、学校側の急な事情のために半年だけ勤めていただいた非常勤講師が退職されました。その先生は、公立の学校も含め、いままで多くの学校で教鞭をとられたベテランです。その先生が退職の挨拶で残された言葉。

 

「山陽女子の生徒たちは、本当に楽しそうに職員室に足を運んできました。用事もないのに職員室に来る生徒がこんなにいるなんて、公立の学校じゃ考えられません。」

 

確かに、休み時間や放課後の職員室は生徒であふれています。彼女たちの多くは特に用事があるわけでもなくやってきます。先生にずっと話しかけてる子、何もせずに先生の姿をじっと見つめてる子、いいように先生に使われて荷物を運んでいる子・・・。こうした環境の中で10年以上働いていますから、これが日常と、特に何も考えていませんでしたが、その先生の言葉を聞いてハっとしました。自分が中学・高校生の頃、職員室といえば、先生に呼び出されて(大抵が悪いこと!)入るところで、何か近寄りがたい雰囲気がありました。学校は勉強する場所。先生は勉強を教えてくれる人。ただそれだけのような感じでした。

 

なぜこんなにも生徒にとって敷居が低い職員室なのでしょう?入口ドアが大きなガラス張りでオープンだから?いやいや、そんなハード面の話ではありません。答えは単純、「そういう学校だから」です。125年間それで通してきています。卒業生の手記などを読んでいると、昔からこのような雰囲気の学校でした。

 

冒頭で紹介した非常勤講師の方は最後にこう結びました。

 

「こんな学校らしい学校がまだ残っていたんだ!と感激すると同時に、短い間でしたが、山陽女子で勤めることができて本当に幸せでした。」

 

学校らしい学校・・我々大人が描くイメージの、「生徒と先生が笑顔で触れ合う、古き良き牧歌的な学校」といった感じなのでしょうか?

 

色々なところで耳にする話をひとまとめにすると、最近の学校現場は、生徒も先生も「成果を作る」ことに追われています。特に私学は経営がつきまといますから余計に必死です。「成果を作る」=「学校の特色」になりがちです。このようなことをずっと続けているとなんだか疲れてしまいますね。

 

正直、山陽女子は、新しい校舎があるわけでもなく、全国に報道されるような先進的な教育が特にあるわけでもなく、そのような流れとは一線を画しています。この、のんびりした校風にもどかしさを感じたこともありましたが、冒頭の非常勤講師の方の目から見た山陽女子には、「学校らしい学校」という立派な「特色」がはっきりと映ったのです。そのことを山陽女子で働く私たち教員に再確認させてくれ、新鮮な気持ちになった年度末でした。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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