2011.04.08
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『探究心」に繋げる

駿台学園 英語科常勤講師 四ツ分 祥子

みなさま、、お元気でしょうか。

先日の大地震の影響で

大変な状況下の方もいらっしゃるかと思いますが

この場では身の回りの出来事を

私の目を通して、相変わらず等身大に

綴っていきたいと思います。

ちなみに節電、私なりに取り組んでいますよ。

お米はガスで炊きます。

 

* * *

 

さて、2年間の非常勤講師を経て

この春から北区の私立学校にて中高の常勤講師として

リスタートすることとなりました。

不安もありますけど。いや、それより

「楽しみ」のほうが大きい。

 

* * *

 

楽しいという感覚は大切だと思います。

これは、何かを始めるときの原動力になります。

でも、この「楽しさ」が、いつまでも感覚のままではいけません。

知的好奇心を経て

やがて「探究心」に繋げねばなりません。

 

* * *

 

ここで少し思い出話を。

昨年度、私は非常勤講師のかたわら

週に一回、塾で中学2年生を教えていました。

最終授業が終わってから

「あのー先生……」

と、おもむろに生徒Aが

メッセージでいっぱいの色紙を手渡してきました。

どの生徒のメッセージにも

「厳しくてどうしようと思った」

とか

「授業についていけるか心配になった」

といった

『先生は怖かったよ』

という暗号が隠れていて笑えました。

ちょっとひっかかったのは、生徒Bのこの言葉。

 

授業が楽しかった―。

 

* * *

 

私は授業中に、塾でも学校でも、冗談をたくさん言います。

洋楽の歌詞などを話題にして

授業が脱線することもたまにはあります。

生徒の「楽しい」という感覚をツールとして

関心をまず私自身に向け、

聞く姿勢を整えたいわけです。

けれど「授業が楽しい」と言われると

「楽しさ」が好奇心や探究心にまで

繋がっていないのではないかと

心配になってくるのです。

 

* * *

 

その日、塾を出て帰ろうとすると

生徒Aが追いかけてきました。

聞くと、色紙を書くというのは彼女の案で

半月前から密かに準備していたとのこと。

有難くて心がじんとしました。

生徒Aは自転車を押して私と歩調を合わせながら

話し出しました。

「来年も先生が良かったなー」

しかし、私は学校を変えるのです。

新しい生活圏へ踏み込むことを

自分で選択したのです。

それは、塾の生徒たちとの別れでもありました。

私は生徒Aに返しました。

「来年はね、忙しくなるから

 塾に来られなくなるんだよ」

生徒Aはうーんと唸ってから

「じゃあ仕方ないね」

と、納得しました。

もし彼女が

「やだ! 先生がいい!」

などと駄々をこねだしていたら

彼女の関心は英語ではなく

私自身に向いていたことになるでしょう。

けれど

彼女と私の関係は

そうした慣れ合いとはまた別物だったのです。

「この子は自分で頑張っていけるな」と

私は安心しました。

 

* * *

 

クラスに生徒が40人いたら

私の思いは1/40ずつしか伝わらないかもしれません。

それでも、一年後に

「英語が楽しくなったよ」と言われるよう

日々模索していきます。

 

四ツ分 祥子(よつわけ しょうこ)

駿台学園 英語科常勤講師
塾講師5年、私立高校にて非常勤講師2年を経験。2011年度から新天地で常勤講師として勤務。

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