2011.03.28
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「なう」な記憶と客観的記録―被災者でない立場から

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

3月11日に起きた大地震では東北地方を中心に大変な被害となっています。西日本に住む私に直接の被害はありません。しかし、日々動く状況の中、地震発生後数日間、私は「つぶやき」の中で色々なことを考えていました。

「ソースのない拡散希望メールはすべて無視します。あしからず。」(3月13日)
デマのチェーンメールが各所から回ってきました。悪意がないだけに始末が悪いと思いました。

「今、私たちに必要なのは、今、自分たちが普通に暮らせることを感謝しつつ普通に暮らすこと。そしてその普通の生活から生まれたゆとりを困ってる人のために分けてあげること。テレビ見て必要以上に焦ったり深刻になってもしょうがないです。」(3月13日)
西日本ではあたりまえの日常が続きます。同じ日本で一日を精いっぱい暮らすのに必死な人がいる中で、何か申し訳ない気持ちでいっぱいです。日常を暮らすことができる私たちに何かできることはないのか? そんなことをふと考えはじめました。

「仙台の知り合いから無事とのメールが届いた!! とにかく水と食料が足りないみたい。」(3月15日)
食糧や水の配給は避難所中心。家が無事だった人の家には全く生活物資が届かないとのこと。食糧は避難所の人も自宅の人も必要なのは同じなのですが・・・。

「できることみつけた。岡山県庁で救援物資を集めているとこのこと。」「今回の被災地と遠からず縁のあるトイレットペーパー。まさに今、役に立つときがきた!」(3月15日)
亡くなった祖父の家には封を切ってない大量の未使用トイレットペーパーがありました。関東大震災、戦災を経験した祖父は人一倍、災害時の日用品の備蓄に熱心でした。その遺品をすべて救援物資として提供することにしました。ちなみに祖父の本籍は宮城県。もし祖父が生きていたら同じことをしたのではないかと思います。

「県庁に救援物資届けに行った。今朝から200人くらいの人が訪れてるらしい。」(3月16日)
昼休みに県庁でトイレットペーパー特大段ボール1箱分持って行きました。本当に多くの人が紙おむつ、毛布、トイレットペーパーなどを手に県庁を訪れていました。

津波の恐怖、増える犠牲者、断たれたライフライン、買占め騒ぎ、計画停電、原発事故、思いつくだけでも書きたいことがたくさんありますが、情報入手源の大部分がマスメディアである一介の教師が、今の時期にそれらを総括するにはあまりにも乱暴です。

今回紹介した、地震発生当時の「なう」は私の記憶。時間が経過し、記憶を客観的に整理し、総括ができるようになったとき、それは記録となります。

「2011年3月に巨大な地震があった。」私は被災者ではありませんが、将来、「被災者でない立場」なりに伝えていかなければならないと思います。そのときまで、この「なう」の積み重ねを大切にしていきたいです。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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