2011.01.03
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30代はどう生きて行くのか?-「不安定第一世代」として

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

2010年12月24日の北川誠先生のつれづれ日誌、「A君へのエール 『生まれた時代が悪かっただけ』なのか?」を非常に興味深く読ませていただきました。私は今年34歳になります。ちょうど北川先生の文章の中に登場するA君と同世代です。

私が小学生だった1980年代後半、世の中はバブルに浮かれていました。両親や先生など周囲の大人からは「勉強して有名な大学行けば、いい会社に就職できて一生安泰だ!」と言われ続けていました。

中学・高校生だった1990年代前半~半ば、バブルがはじけ、「不景気」という言葉が日常語になりました。でも、公民の授業で習った「不景気のあとには必ず好景気がやってくる」ということを信じ、「僕らが大人になるころは、また景気のいい時代になってるさ!」とお気楽なもんでした。

大学に入って、あれ?おかしいぞ?ということに気づきました。少し上の先輩達と同じような就職活動ができません。(それでも現在に比べるとまだ生ぬるいものでしたが)私は幸い就職することができましたが、多くの同級生が大学卒業後も就職できないという憂き目に遭ってしまいます。

2000年代後半、私たちの世代が30代になってしまいました。20代のころつまずいて、雇用不安定な人が多くいます。

年末年始の年賀状関係の郵便局のアルバイト、私の住む地域では面接で高校生が大量に落とされたそうです。聞いてみると、30代の無職の男性が応募に殺到しており、そちらを優先的に採用したら高校生の入る枠がなくなってしまったということらしいです。

30代が収入不安定層に滞留しているため、後に続く若者にもしわ寄せがかかっています。それと関係あるのか、世間の30代収入不安定層に対しての風当たりは強いです。上の世代からは「就職できなかったのは自己責任。」下の世代からは、「情けない大人のせいで、俺らの取り分がなくなる!」更には「不幸なのはお前らの世代だけじゃない!」と・・。世代間対立は不毛なものになりがちなので、私は好きではないのですが、これだけは言えます。時代は変わっているのです。我々の世代が上の世代から教えられたモデルライフはすべて幻想。現在の30代は、その最前線になんの準備も教育もないまま放り出された「不安定第一世代」なのです。

我々の世代の中でも正社員として働いている人も、かつての日本社会が描いていたような収入を得ることは困難です。そのような中で老後のことを思うと、退職金は?年金は?医療費は?不安要素をあげればキリがありません。

では、我々30代に何ができるのかを考えてみましょう。30代といえば、社会では大きな戦力として期待される年齢です。社会に出たての20代からは「ちょっと上の先輩」として、良くも悪くも参考にされてしまいます。我々、2010年代を生きる30代が「将来不安社会」の行き方の先鞭をつける存在とならなければ!先行き暗い社会を歩む、これからの若者の先頭に立って光を探さなければ!それが「不安定第一世代」に与えられた大切な役割だと思います。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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