2010.12.27
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地域学習の実際(4)

北海道真駒内養護学校 教諭 遊佐 理

今まで、地域学習の実際として地域学習で子どもたちがどのようなことをしてきたかということに焦点を当てて紹介してきました。

今回は、少し視点を変え、本校と地域学習校との連携という視点から地域学習の実際を紹介したいと思います。


本校では、地域学習の際にはほとんどのケースで本校の教員が同行しています。
地域学習に教員が同行するメリットとしては、3点ほど考えられます。
1つ目は、本校の子どもたちへの支援を充実させられるという点です。
いつも支援している本校の教員が支援することで、場所が変わる影響を最小限にすることができると考えます。地域学習校からも本校教員の動向のメリットとしてこのことをあげていただくことが多くあります。

2つ目は、地域学習校教員との相互理解が深められるという点です。
先生同士の打ち合わせについては、年度初めにはどんな行事や授業に参加できそうかお互いのアイデアを出し合い、年間の大まかな計画を立てていきます。
そして、地域学習の期日が近づいてから、どんな学習をするのかを確認し、それに合わせて本校の子どもたちがどんな形で参加していくのかを検討するといった内容で行うことが多いです。
打ち合わせの手段は、年度初めは直接お会いして話すことが多いのですが、それ以外は電話かファックスのやりとりが多くなります。

これは稀なケースですが、以前、僕が担任した児童の地域学習では、年度初めの打ち合わせだけではなく毎回の地域学習ごとに地域学習校の先生が本校に来てくれて打ち合わせを行うことができました。
その際、授業の話だけではなく、地域学習校の子どもたちの話、お互いの学校での業務の話など、様々なことについて話ができました。
お互いにいろいろな話をすることでお互いの教員に対する理解が深まり、実際の授業では、それぞれの教員がティームティーチングで進める授業を展開できるときもあり、地域学習の充実につながっていったと思いました。
また、地域学習校の先生から「遊佐先生と○○くんとの様子を見て、自分がどうかかわればいいのかが分かりました。」と言われたことがあり、僕の普段の何気ないかかわりが手がかりになることもあるようです。

3つ目は、本校の子どもたちと地域学習校の子どもたちを円滑につなぐことができるという点です。
地域学習に同行した本校教員は、本校の子どもたちの支援だけではなく、周りの子どもたちにもかかわっています。
たとえば、授業のことで他愛もない話をしたり、落ちた消しゴムを拾ってあげたり、みんなで一緒に鬼ごっこをしたりなど、様々な活動を地域学習校の子どもたちとすることで本校教員が仲良くなり、それに引っ張られるようにしてお互いの子どもたちが仲良くなるということがありました。
僕は、3つ目のメリットが一番重要ではないかと感じています。

ここで大切なのは、楽しいことをしながら笑顔で人と人とをつなぐということではないかと思っています。
それまで大きく違う環境の中で育ってきた子どもたちをつなぐということは一朝一夕にできることではなく、ある程度長期的な視点が必要だと考えています。
だからこそ、お互いの子どもたちが「また会いたい」「次の地域学習の日が楽しみ」と思ってもらうことが必要であり、そのためには笑顔が必要ではないかと思っています。


現在、学習指導要領が変わり、それに対応するべくそれぞれの学校で様々な努力をしているところではないかと思います。
そんな中で、地域学習を行っている先生方を応援できればと思い、書いてみました。
参考にしていただけるとうれしいです。

遊佐 理(ゆさ おさむ)

北海道真駒内養護学校 教諭
特別支援教育コーディネーターになって3年目。特別支援教育のプロフェッショナルとして、笑顔で人と人とをつなぐことを目指して頑張っています。

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