昨年度の地域学習は新型インフルエンザの影響を受け、かなりの回数が中止もしくは延期を余儀なくされました。
一方、今年度の地域学習は、とても順調です。色々な実践が出てきて、とても興味を持って地域学習の記録を読んでいます。
今回は、今年度に限らず、今まで実施してきた地域学習の中で紹介していなかったものを紹介していきたいと思います。
地域学習では、学年が進むにつれ、授業に参加するには色々な工夫が必要なことが多くあります。
そんな中、学年が上になって初めてできるものもあります。たとえば、家庭科の調理学習などがそれに当てはまります。
小学校3年生から始まる書道もそのひとつです。
書道で取り上げる文字は、たいてい下の学年で習う字が多く、漢字を習い始めた子どもでも参加しやすいということがあります。
日ごろから、真駒内養護学校の子供たちが書道で書く線の力強さ、思い切りの良さ、素直な表現に感動することが多くあり、その感性の良さを地域学習でも伝えられないかと考えていました。
そんな中、地域学習で書道の授業があり、自分が気に入っている文字を小さな紙に書くという内容が伝えられました。
小学部4年生のAさんは、細かい手の動きが苦手で、書道でもダイナミックに筆を動かすのを得意としていました。そこで、小さい筆でコンパクトに字を書く練習をしてから地域学習の授業に参加しました。
当日は、半紙に色々な文字を練習して、地域学習校の担任の先生から本番の用紙が渡されました。
Aさんには事前に「その時に書きたい文字を書いていい」と伝えていたので、果たしてなんの文字を書くのか、興味津々で眺めていました。
Aさんは、ちょっと考えた後、用紙いっぱいに「大」という文字を書きました。
練習の時には一度も書いていない文字で、とてもびっくりしましたが「この字が好きだったから書いた」とはじめから決めていたようでした。
その字を見た周りの子供たちや地域学習校の先生は「とても上手だね」と褒めてくれました。まわりの子供たちが繊細な字を書いている中、Aさんの太くてはみ出さんばかりの文字は存在感たっぷりでした。僕も、その字を見て、伸びがある字を書いたなぁ、と感心しました。
僕の記憶が正しければ、Aさんの作品はしばらくの期間、地域学習校の教室に他の児童の作品とともに飾られていたと思います。
今まで、地域学習の紹介では、あえて授業の参加をメインに紹介してきました。しかし、それ以外にも色々な形の地域学習があります。
その中のひとつに、中学校の文化祭の見学があります。
Bさんは、小学部の時代は多くの地域学習を経験していましたが、中学部では地域学習を実施していませんでした。そんな中、中学部の最後に地域学習をしたいということで地域学習校と相談して、文化祭を見に行くことにしました。
事前の連絡では、文化祭のおおまかな内容を教えていただき、こちらからは、小学部で行ってきた地域学習でとても仲良くしてもらった生徒の名前を伝え、できれば、Bさんの席をその生徒の近くにしてほしいとお願いしました。
当日、Bさんは初めて行く場所でとても緊張していたようですが、会場で仲良しだったCさんに会い、話しかけられたときにとてもうれしそうだったということを聞いています。
ちょうど、同窓会のようだったと。
その様子を聞いた僕は、こんな地域学習もいいんだな、と思ったのと同時に、授業に参加しようとばかりしていた、視野の狭い自分にも気付かされました。
色々な地域学習の実践を通して最近の僕が感じていることは、「すべての可能性を否定しない」ということです。
どうしても、うまくいった事例にとらわれ、「地域学習はこうあるべき」と思いがちなところがあります。
しかし、最終的なゴールとして「将来の地域生活を豊かにしていくこと」「お互いのいいところも良くないところもまとめて分かりあうこと」ということを共有できればいろいろな形があっても構わない、と思うようになりました。
地域学習について、今後もいろいろな実践をもとに、さらに充実していける方策を一生懸命考えていきたいと思います。
今回の記事が、皆さんの参考になることを祈っています。
一方、今年度の地域学習は、とても順調です。色々な実践が出てきて、とても興味を持って地域学習の記録を読んでいます。
今回は、今年度に限らず、今まで実施してきた地域学習の中で紹介していなかったものを紹介していきたいと思います。
地域学習では、学年が進むにつれ、授業に参加するには色々な工夫が必要なことが多くあります。
そんな中、学年が上になって初めてできるものもあります。たとえば、家庭科の調理学習などがそれに当てはまります。
小学校3年生から始まる書道もそのひとつです。
書道で取り上げる文字は、たいてい下の学年で習う字が多く、漢字を習い始めた子どもでも参加しやすいということがあります。
日ごろから、真駒内養護学校の子供たちが書道で書く線の力強さ、思い切りの良さ、素直な表現に感動することが多くあり、その感性の良さを地域学習でも伝えられないかと考えていました。
そんな中、地域学習で書道の授業があり、自分が気に入っている文字を小さな紙に書くという内容が伝えられました。
小学部4年生のAさんは、細かい手の動きが苦手で、書道でもダイナミックに筆を動かすのを得意としていました。そこで、小さい筆でコンパクトに字を書く練習をしてから地域学習の授業に参加しました。
当日は、半紙に色々な文字を練習して、地域学習校の担任の先生から本番の用紙が渡されました。
Aさんには事前に「その時に書きたい文字を書いていい」と伝えていたので、果たしてなんの文字を書くのか、興味津々で眺めていました。
Aさんは、ちょっと考えた後、用紙いっぱいに「大」という文字を書きました。
練習の時には一度も書いていない文字で、とてもびっくりしましたが「この字が好きだったから書いた」とはじめから決めていたようでした。
その字を見た周りの子供たちや地域学習校の先生は「とても上手だね」と褒めてくれました。まわりの子供たちが繊細な字を書いている中、Aさんの太くてはみ出さんばかりの文字は存在感たっぷりでした。僕も、その字を見て、伸びがある字を書いたなぁ、と感心しました。
僕の記憶が正しければ、Aさんの作品はしばらくの期間、地域学習校の教室に他の児童の作品とともに飾られていたと思います。
今まで、地域学習の紹介では、あえて授業の参加をメインに紹介してきました。しかし、それ以外にも色々な形の地域学習があります。
その中のひとつに、中学校の文化祭の見学があります。
Bさんは、小学部の時代は多くの地域学習を経験していましたが、中学部では地域学習を実施していませんでした。そんな中、中学部の最後に地域学習をしたいということで地域学習校と相談して、文化祭を見に行くことにしました。
事前の連絡では、文化祭のおおまかな内容を教えていただき、こちらからは、小学部で行ってきた地域学習でとても仲良くしてもらった生徒の名前を伝え、できれば、Bさんの席をその生徒の近くにしてほしいとお願いしました。
当日、Bさんは初めて行く場所でとても緊張していたようですが、会場で仲良しだったCさんに会い、話しかけられたときにとてもうれしそうだったということを聞いています。
ちょうど、同窓会のようだったと。
その様子を聞いた僕は、こんな地域学習もいいんだな、と思ったのと同時に、授業に参加しようとばかりしていた、視野の狭い自分にも気付かされました。
色々な地域学習の実践を通して最近の僕が感じていることは、「すべての可能性を否定しない」ということです。
どうしても、うまくいった事例にとらわれ、「地域学習はこうあるべき」と思いがちなところがあります。
しかし、最終的なゴールとして「将来の地域生活を豊かにしていくこと」「お互いのいいところも良くないところもまとめて分かりあうこと」ということを共有できればいろいろな形があっても構わない、と思うようになりました。
地域学習について、今後もいろいろな実践をもとに、さらに充実していける方策を一生懸命考えていきたいと思います。
今回の記事が、皆さんの参考になることを祈っています。
遊佐 理(ゆさ おさむ)
北海道真駒内養護学校 教諭
特別支援教育コーディネーターになって3年目。特別支援教育のプロフェッショナルとして、笑顔で人と人とをつなぐことを目指して頑張っています。
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