2010.09.14
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幼児教育研究大会に参加して

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

 8月最後の土曜日に「第四回信州幼児教育研究大会」に参加しました。
 この研究会の主な会員は、県内の私立幼稚園の先生方と県内の幼稚園教諭・保育士養成校の先生方です。私は、施設で「幼児の自然体験プログラム」を実施している関係でこの研究会に所属しています。所属はしているのですが、毎年8月の研究大会も日程が合わず、今回初めての参加となりました。
 実践者である幼稚園の先生と大学の研究者の先生方が共同で研究しているこの会は、実践者と研究者が分科会ごとに共通の課題に対して取り組み、研究しています。
 日々子ども達の中で実践している実践者は、時に思いこみや独りよがりになりがちです。そして、研究者に対して実践したこともないのに・・・と敵対視してしまうこともあります。理論と実践を兼ね備えられたらベストですが、なかなか大変です。だから、研究者と実践者が一緒に研究しているこの大会に初めて参加し、理想的だなぁと率直に感じました。

 今回この研究大会に参加して、長野県の幼児教育の実情を知ることができました。長野県は、保育園の割合が、70%強でその多くが公立ということ。幼稚園の割合は、30%弱でほとんどが私立ということ。大都市と違い、待機児童もほとんどないということもわかりました。また、「子ども・子育て新システム」の説明を聞くことができました。
 なんとなく耳にしていた「幼保一元化・幼保一体化」について、大会後少し調べて見ました。

 「幼保一元化」とは、少子化の進行、育児サービスの多様化に伴って生じている幼稚園と保育所の抱える問題点を解決するために、幼稚園と保育所の一元化を図ろうとする政策です。幼稚園と保育所は、異なる歴史的経緯により設立された為、運営基準・職員の資格(幼稚園は幼稚園教諭、保育所は保育士)・諸官庁(幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省)が異なっています。これを一元化し、教育水準の均等化とサービスの効率化を目指す政策です。
 「幼保一元化」が叫ばれたのは、1960年代に遡ります。最大のねらいは、合理化、すなわちコスト削減だったようです。近年、就学前の子どもに関する教育・保育ニーズが多様化し、小学校就学前の子どもの総合的な教育・保育の提供が叫ばれるようになってきました。
 規制緩和の一環として、構造改革特区制度が導入され、「幼保一体化」を実施している自治体もあるようです。
 2006年10月に「就学前の子どもに関する教育・保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が施行され、幼保一体化施設として、認定子ども園制度が開始されました。今回の大会会場も認定子ども園でした。

 私は幼稚園教諭の免許も取得していますが、小学校の教師をしていた時に幼稚園の研究会に参加したことはありませんでした。中学校の先生が小学校の研究会に参加したことがないように、なかなか校種が違う研究会に参加する機会はないと思います。
 また、自分の担当する教育現場以外の問題には、あまり感心を持たないということはないでしょうか(自分の直面する教育現場での対応が忙しくてそれどころではないのかも知れません)
 しかし、目の前の子どもたちが、今までどんな教育を受けてきたのかを知ることは、とても大切なことだと学校現場を離れた今とても感じます。
 そして担任した子どもたちがその後どんな教育を受けるのかについても感心を持つことが必要だと感じます。

 そう思うと、この「つれづれ日誌」には、様々な校種の先生方の学校での様子が書かれています。校種が違うから、と思っていた先生の日誌も積極的に読んでみようという気になります。

 今回の研究大会は、就学前の教育について、新たに考える機会を持つ事ができ、私にとって有意義な会となりました。やはり外部の研究会に参加することは、新たな刺激を受けることが出来、とても大事なことだと感じています。

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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