2010.08.31
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長期自然体験事業の成果を夏休みの宿題の一部に・・・

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

 ここ最近、授業時数確保のために、子どもたちの夏休みが短くなる傾向にあります。
 1学期は、20日頃に終了し、31日に夏休みが終わると思いこんでいましたので、長野県に来て、子どもたちの夏休みの短さに驚きました。大部分の学校が7月27or28日から夏休みに入り、8月18or19日から二学期が始まっています。
 従って、長期の自然体験事業を実施する期間は、限られてしまいます。この限られた期間に、地域のスポーツ少年団の練習、社会教育関係団体(ボーイスカウト・ガールスカウト・子ども会等)の活動があり、夏休みは、小学校高学年の子どもたちの取り合い現象がおきています。このほか、塾や家族旅行もあるのですから、「長期自然体験事業」の定員を充足するのは、なかなか大変です。

 そんな沢山の活動の中から、施設の「長期自然体験事業」に申し込んでくれた子どもたちには、参加して良かったと感じて貰えるようなプログラムを提供しているつもりです。
 「長期自然体験事業」に参加する子どもたちの心配のほとんどは、「友だちができるか」「体力が持つか」ということですが、「長期自然体験事業」に参加させる保護者の皆さんの心配ごとは、「夏休みの宿題があるのに、長期自然体験事業に申し込んで大丈夫だろうか」「宿題は、参加後に終わるのだろうか」だと思います。

 そこで4年前から、少しでも長期自然体験事業の成果を夏休みの宿題の一部にできないかと考え、3年前から以下の2点を実践しています。
 1つは、「ユカイナ」という楽器を事業期間通して活用しています。オカリナは土笛ですが、「ユカイナ」は、小さな手のひらに収まる木の笛と想像してください。
 事業2日目に自分たちで「ユカイナ」を手作り製作します。演奏の仕方を教わった後は、各自で、班で練習します。今年度は、いつでも肌身離さず首から「ユカイナ」をぶら下げて、練習する姿があり、映画「耳をすませば」のテーマ曲「カントリーロード」があちこちから聞こえて来ました。オリエンテーリングでも登山でも自由時間でも「ユカイナ」の音が聞こえると子どもたちは、元気に活動しているなとホッとしました。最後のキャンプファイヤーでは、全員で「カントリーロード」を演奏しました。
 木のクラフトとして製作したのではなく、1曲完全に演奏できるようになった「ユカイナ」は、子どもたちの宝物であり、大きな成果物です。

 2つ目は、家に帰ってから、7日間のまとめを作文にまとめたりするのは、子どもたちも大変です。その負担をなくそうと最終日に、班のボランティアが写した子どもたちの写真を「6泊7日の想い出のアルバム」としてまとめる時間を確保し、全員のアルバムを見合う事で想い出を共有しました。
 私たち指導者も、子どもたちが何に感動し、どの体験が子どもたちの心に残っているのかすぐ解り、非常に貴重な時間となりました。作品には、それぞれの個性があふれ、このまますぐにでも自由研究として提出できるものもありました。

 閉会式では、挨拶の中で子どもたちにこの2点についての話しも伝え、「宿題2つこの事業の中で完成したね。」と言いました。
 閉会式後、保護者の方が声をかけて下さったので「後は読書感想文だけですか?」と話したら、「科学(理科)研究にまとめられる材料ないですか?」の言葉に『エッー』と心の中で叫んでいた私です。

 ※写真は、上からユカイナ製作・譜面を見ながら初めての音出し・頂上でも練習の様子です。
IMG_0259.jpgIMG_1214.jpgFile3.jpg

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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