2010.07.23
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大学での講義で…

北海道真駒内養護学校 教諭 遊佐 理

今回は、前回の続きです。

僕は、年に2回、ある大学での講義を担当しています。将来を担う大学生に、肢体不自由養護学校の教育について話しています。

僕は、大学での講義の一番最初に、「絵心クイズ」と称してみんながよく知っているキャラクターの絵を何も見ないで描いてもらいます。
学生たちはなぜか楽しそうに書いてくれます。
そして、書き上がったところでパワーポイントで正解の絵を映し、その上で、学生たちに自分が描いた絵のいいところを3つとここをなおしたらもっとにていたと思うところを1つ考えてもらいます。
そして、前回のつれづれ日誌で書いたようなことを伝え、本題に入っていきます。


つい最近、今年度1回目の講義がありました。

僕は、いつも講義をする際には、話す内容をパワーポイントにまとめておきます。そうすることで何を話すのかを僕自身もパワーポイントで確認できますし、写真や図などを効果的に配置することで僕の話が足りないところも補ってもらえます。
最近は、アニメーションにも凝っていて、イラストの人物が移動して物を渡すといったようなことも表現できるようになりました。

前年度も同じ講義を担当したので、その時使用したパワーポイントのファイルを確認し、前年度は時間が足りなくなったので話す内容を精選し、資料も用意して講義に臨みました。
もちろん、講義のはじめには、絵心クイズを入れました。



そして迎えた講義当日、大学に向かう途中であることに気付きました。
「もしかしたら、パワーポイントのデータをUSBメモリーに入れていないかも」
その瞬間、頭の中が真っ白になりました。
しかし、もう後戻りすることもできません。
僕は年に似合わず物忘れが激しいので、データを入れたことすら忘れているだけかもしれない、となぜかこのときだけ楽観的に考え、そのまま大学へ向かいました。

そして、大学の教室でUSBメモリーをパソコンへ差し込んで確認しました。

やはり、データはありませんでした。



その後のことはあまり良く覚えていません。
まずはデータを忘れたことを学生に詫び、90分間一生懸命話をしたことはかすかに覚えています。
絵心クイズの正解は、僕がへたくそな絵を黒板に描くというお粗末なものとなりました。

ただ、あることだけははっきりと覚えています。
この日の講義は学生とよく目が合うなと思っていました。特に、思いを込めて話をしているときには多くの学生と目が合いました。
いつもは、パワーポイントをプロジェクターで映し出しているので、どちらかと言うと僕よりもプロジェクターの映像に学生の目が行きがちですが、今回はプロジェクターの映像がないので、学生は僕の方を見てくれたようです。


視覚的な情報発信手段としてのパワーポイントの有効性は十分あると思っています。特に、動画や写真、難しい概念をアニメーションを交えて示すことで、とても伝わりやすくなります。
一方で、自分の思いを言葉としてしっかり伝えたいときには、あえてパワーポイントを使わずに情報量を制限することで聞き手の集中を引き出し、結果的に伝わりやすくなることもあるということに気づきました。

今回は、いつもよりも伝わったという実感が得られた講義となりました。

……とは言え、パワーポイントのデータを忘れたというのは僕の大失敗であり、そのせいで真駒内養護学校の授業風景の写真なども見せることができず、講義の質が低下したということに変わりはありません。学生をはじめ、関係者の皆さんには大変申し訳ないことをしたなと反省しています。

今後は、データを忘れないような方法について考えるとともに、パワーポイントの効果的な使い方についても考える必要を感じる大失敗でした。

遊佐 理(ゆさ おさむ)

北海道真駒内養護学校 教諭
特別支援教育コーディネーターになって3年目。特別支援教育のプロフェッショナルとして、笑顔で人と人とをつなぐことを目指して頑張っています。

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