2010.07.09
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いいところ3つと改善点1つ

北海道真駒内養護学校 教諭 遊佐 理

この言葉は、僕が教育実習でお世話になった養護学校で、授業研究の時に知った言葉です。

その養護学校では、他の実習生の授業研究を見学する際に青い紙の反省用紙を3枚と白い紙の反省用紙を1枚渡されました。
青い反省用紙には「見学した授業研究でよかったと思うことを記入してください」とあり、白い反省用紙には「見学した授業研究で改善点だと思うことを記入してください」と書いてあったと思います(もう14年前なので記憶があいまいです…)。

僕は、この枚数の比率に新鮮さを感じました。

それまでの実習では、反省会で実習生の改善すべきところを数多く指摘されていました。当然、実習生同士でも改善点というかその授業の欠点を数多く指摘しあうような雰囲気があったように思います。
しかし、その養護学校では、はじめにその授業の良かったところを3つ探すということを実習生に課していました。
まずは良かったことを述べてから「あの場面ではこんなふうにしてみた方が良かったのではないか」と具体的に改善点を示すことで、とても建設的に授業反省会が進んでいったような印象がありました。

それから、14年後。
僕は、授業研究に限らず、担任としてかかわってきた子供たちや、コーディネーターとしてかかわっている先生たちにもいいところ3つと具体的な改善点を1つ探すということが効果的であると思っています。

多分、どんな子供たちや先生たちにもいいところがあり、それぞれさまざまな願いを持ちながら頑張っています。
しかし、教員になりたての頃は、子供たちや同僚の先生たちと接するときに、どうしても課題になっているところに目が行ってしまう自分がいました。そして、自分が優位に立ったような錯覚から、課題だけを指摘するようなことを繰り返していました。
今だって、気持ちに余裕がないときには、そんな自分がいたりします。

そんなトゲトゲした自分が嫌いになりかけたときに思い出すようにしているのは「いいところを3つ、改善点を1つ」という言葉です。

ただただ褒めちぎるだけでもなく、良いところを認めた上でちょっとできそうなところから変えていけるところを話すという話し方は、相手の立場に立って考えやすいと同時に相手に受け入れられやすいように思います。

その際、何を褒めるのかということについて、話し方や物事をとらえる視点の面白さ、人への気遣いなど、直感的に「いいところだな」と思ったところを褒めていくようにしています。
逆に、課題となっているところについては、「自分だったらこうするかな」と思ったことを分かりやすく伝えるようにしています。

最近では、周りの人や授業に限らず、真駒内養護学校のいいところや課題点も考えたこともありました。
真駒内養護学校のいいところは施設面の充実、教員の手厚さ、専門性の高さといったようなことになるかと思います。逆に、改善点としては、真駒内養護学校のよさをもっと周囲に伝える手段をできるだけ多く考えていくことではないかと思っています。


僕は、たまに大学などで講義を依頼されることがあるのですが、その際にも一番初めに「いいところ3つと改善点1つ」を紹介するようにしています。
つい先日も、ある大学で講義を担当し、その話をしようとしたのですが……。

この続きは長くなりそうなので、次回の記事で改めて紹介します。

遊佐 理(ゆさ おさむ)

北海道真駒内養護学校 教諭
特別支援教育コーディネーターになって3年目。特別支援教育のプロフェッショナルとして、笑顔で人と人とをつなぐことを目指して頑張っています。

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