2010.07.02
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

中学校の家庭科の先生を建築家が親切にサポートします

建築家(グローバルアーティスティック代表) 岩崎 亮平

私は、以前ここでも書きましたが、小中高校へ出前授業に出かける機会が多々あります。その時は、もっぱら建築を優しい言葉で話をするのですが、当然先生方ともいろいろな話をします。授業の進め方、段取り、資料作りなどなど。

最近の建築の出前授業では、地震による建物耐震が多いです。といっても相手は、小中学生なので、専門的な言葉は使えません。内容としまして、(1)阪神大震災時の被災状況のビデオ観賞。(2)パワーポイントを使っての○×クイズ。阪神大震災の画像を使い、こどもたちに当て、答えてもらいます。(3)ぶるるという本当に簡単な紙の模型を作って筋交いの大切さを体験。以上の3種類をそれぞれ授業の1コマを使います。
小学生ではかなり活発な意見や質問が飛び出し、やかましいほどですが、中学生になると逆に無反応で静かな授業になります。少し内容が幼稚なのかもしれません。

学校によっては、この1日を防災訓練日と位置づけ、避難訓練や地震体験車の体験も合わせて行われます。地震体験車はトラックの荷台に振動する装置を載せたもので、震度7まで揺らすことが出来ます。ちょうど神戸の地震の震源地の強さですが、大人でも手摺を掴まねば立っていられません。こどもたちにとっては、初めての体験なのできゃーきゃーと楽しんでいますが、地震は予期せぬ時に襲うことを説明し理解してもらっています。
この時は、行政関係、消防関係といろいろな協力者が集まります。そして当然、担当の先生と話をすることが増えます。

ここでタイトルにある家庭科の話ですが、あるとき家庭科の先生とじっくり話す機会がありました。
先生曰く、家庭科教科の中の、衣、食は詳しく生徒に教えられるけれど、住まいに関しては、どのようにすればよいか分からないとのこと。
生徒たちも同様で、まったく興味が湧かないそうです。また住まいについては、実習もなく、それがさらに面白くないものにしているそうです。

それを受けて、この3月に、私の住んでいる相楽郡の家庭科教師主任会議に私も参加して建築の話をレクチャーすることにしました。生徒よりもまず教える先生方に建築に興味を持ってもらわねばなりませんから。
ここでも分かり易く、画像やポストイットを使ってワークショップをするのですが、建築を学ぶというよりは、まず関心を持ってもらうように進めます。最近の家庭科では特に環境についての内容が増え、建築との関わりが多いのです。
90分程度でしたが、先生方には新たな発見があったようです。最終的に先生方と我々建築家が一緒になって、家庭科の副教本を作ろうという話にまでなりました。
すぐには実現できませんが、建築家が関われる学校教育のきっかけになればと思っています。
100702iwasaki-1.jpg100702iwasaki-2.jpg100702iwasaki-3.jpg

岩崎 亮平(いわさき りょうへい)

建築家(グローバルアーティスティック代表)
建築設計の仕事が本業ですが、「こども建築ワークショップ」を主宰し、学校へ出前授業を行っています。子どもに関わること全てが私のライフワークです。子どもは人類の宝者ですから。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop