2010.06.08
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ドイツの教育事情≪日独青少年指導者セミナー(1)≫

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

 5月20日(木)~24日(月)の5日間、ドイツの青少年指導者の方達が、私の勤務する施設で、研修を行いました。これは、「日独青少年指導者セミナー」の一環で、「生きる力を育む~低年齢児童の支援制度と方法~」のテーマのもと、全行程15日間のうちの5日間を長野で過ごし、前半二日間は研修を、滞在後半はホームステイを行いました。
 今回は、その研修内容と私が通訳を介して理解したドイツの教育についてお話したいと思います。

 信州高遠青少年自然の家は、平成19年度から「幼児の自然体験活動プログラム」の開発に取り組み、県内の幼稚園・保育園と連携し、調査研究を進めてきました。幼児期の自然体験活動に興味がある方は、施設のホームページに「運動量の少ない子ども・運動の苦手な子どもに教育効果をもたらす自然体験活動プログラム」報告書の内容を全文掲載してありますので、http://takato.niye.go.jp/kankoubutu/18%20tyousa.html  にて、御覧いただきたいと思います。
 
 滞在2日目の午前には、「幼児の自然体験運動プログラム」を、地元の保育園児と一緒に体験し、午後からは、前述運動プログラムを園でも取り入れている幼稚園・保育園の保育士と、プログラムの普及に努めている行政コーディネーターも参加して、研究協議会(2)を開催しました。開発した活動が子どもたちにどんな変容をもたらしているかということや、幼稚園・保育園が、小学校への移行についてどんな取り組みをしているかについても説明し、ドイツ団からはドイツの幼児教育の現状や課題が紹介されました。
 
 ドイツの教育システムは、州によって異なるため、「ドイツの教育」とひとくくりで説明するのは難しいようです。日本の教育システムは、文部科学省によって定められているので全国何処でも同じです。
 ドイツは、原則初等教育は午前中で終わります。しかし、近年日本と同様学力低下が問題となり、半日制から全日制に移行する州が増えてきているようです。それは、OECDが公表した学習到達度調査(PISA)の成績があまりよくなかったことによるものです。
 午前中は学校教育、午後は社会教育と「学校教育と社会教育」がヒフティ・ヒフティの立場を取っているので、社会教育が担う部分がとても大きく、日本のように地域の活動も家庭のしつけも全て学校教育が抱え込むという事はないようです。
 午後を社会教育が担っていることによる良い点として、ノンフォーマルの学びがあると指摘しています。その学びから、社会参加意識を高めているということです。
 子どもたちは、様々な活動を通して社会性を身につけているそうです。子どもたちによるディスカッションも盛んに行われているようです。日本では、地方に多く見られる「消防団活動」ですが、ドイツでは子どもたちが多く参加しているとのことです。果たして日本の子どもたちは地域の「消防団活動」にどれくらい参加しているのでしょうか?

 また、ドイツは、サッカーが盛んですが、子どもたちは、午後地域のスポーツ少年団で汗を流します。決して学校の先生が指導するわけではないようです。
 日本が、部活動を社会体育になかなか移行できないのは、指導者不足という面も勿論ありますが、一部の先生方が部活の顧問を離さないからなのではという気も少しします。やはり、日本の先生方は、何もかも抱え込んでしまうようですね。

 写真は、研究協議会(1)の様子と保育園児と共に「自然体験活動プログラム」を実施するドイツ団の皆さんです。
 次回は、ホームスティ中のエピソードをお話したいと思います。
IMG_1769.jpgIMG_1819.jpgIMG_1865.jpg

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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