2010.05.25
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宿泊学習プログラム作りアドバイス

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長 松村 純子

 先日、愛知県A市の「林間学校担当者研修会」で「宿泊学習プログラムの作り方」のお話をさせて頂く機会がありました。A市は昨年度から、12校全てが私が勤務する青少年自然の家を利用頂いているので、お役に立てればと講師を引き受けました。
 この夏の宿泊学習の担当となっている方の参考になれば幸いです。

各学校で昨年度までのプログラムを一度リセットしてみませんか?
「宿泊学習プログラム作りにあたって」以下の3点を挙げたいと思います。
1.子どもたちの実態の分析
2.子どもたちにつけたい力の明確化
3.指導者の願いと思いの整理

 ○子どもたちの実態の分析の流れ
 分析というとアンケートをとるのかとか、何かとても大変な印象を持ちがちですが、分析の流れは簡単です。学年会でちょっと時間をとって頂ければできる事です。
(1)最初は、各クラスごとの児童の現状把握です。始業式から2ヶ月経ち、一人ひとりの子どもの様子やクラスの雰囲気などをちょっとメモ程度に書き出してみましょう。
 (2)次は、学年全体の児童の把握です。これは、各クラスごと2~3分でお互い書き出したメモを読み上げましょう。この時、他のクラスの先生は、「違うんじゃない」とか「もっと○組はこうだ」のような事を言ってはいけません。各担任が感じたままを言い、他の先生方もそれを受けとめます。
 (3)そして最後に、学年共通の期待する姿のイメージ化をし、今回の宿泊学習のねらい作りをします。
 
 ○プログラム作りの流れ
 子どもたちの実態分析をした後、プログラム作りを行います。
 (1)最初に、ねらいの精選・設定をします。ついつい、あれもこれもとねらいが増えてしまいますが、2泊3日なら、ねらいは、2つがベストでしょう。
 (2)次に体験活動の吟味をします。施設には、たくさんの体験活動が用意されていると思いますが、大きな活動は1日1つとし、2泊3日なら、活動は、3つがベストでしょう。
 (3)最後に活動の流れを決定します。これは、プログラムにストーリーを持たせるということです。活動がぶつぶつ切れないように、工夫してください。

最後に「プログラム作り」のポイントは、以下の3点です。
1.ねらいも体験活動も欲張らない
  これは、前掲しました。
2.ゆとりを持つ(時間と心)
  これは、プログラムを詰め込みすぎないという事と先生方の心にゆとりを持つという事です。この時間のゆとりがあれば、先生方の怒っている声が自然の中に響く事もないでしょうし、生徒が先生の声に押されて、走り通しと言うこともないと思います。
3.事前に準備する活動と当日に実施する活動との明確化
  これは、宿泊学習の事前学習に時間を取りすぎるため、宿泊学習が大変だと負担に思う先生方多いと感じるからです。現地でのプログラムに余裕があれば、現地で指導しても十分活動は可能だと考えます。

 簡単にポイントを説明しましたが、少しでも皆さんの「宿泊学習のプログラム作り」の参考になれば嬉しいです。

松村 純子(まつむら じゅんこ)

独立行政法人国立青少年教育振興機構 教育事業部 企画課長
元小学校の教師です。勤務地の異動に伴いしばらくお休みをしておりましたが、2年半ぶりの再登場です。「青少年の体験活動の重要性」を発信したいと思います。




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