2010.06.11
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教育相談での失敗から…

北海道真駒内養護学校 教諭 遊佐 理

僕は、コーディネーターになってから、教育相談にかかわるようになりました。

それにかかわり、さまざまな経験をさせていただいています。

もちろん、詳細についてはお話できませんが、今回は、自分の失敗談を紹介したいと思います。

教育相談は、だいたい2人体制で行うので、1人は保護者と話しをして、もう1人は子どもと遊びながら実態を把握することになります。

僕は、どちらかというと、子どもと一緒に遊ぶ担当になることが多いです。
僕は、初めてかかわる子どもに気に入られることが多く、それは僕のちょっとした自慢でもあります(もちろん、まったく話してくれない子もいるので万能ではありませんが…)。

2年ほど前、来年度就学予定という保護者と子どもが教育相談に来ました。

僕は、そのときも子どもと遊ぶ担当として、一緒に来た子供と遊んでいました。
遊びながら手の動きやおしゃべりの様子など細かく観察していきました。

就学に関する相談の場合、初めての場所で緊張していることが多く、そのときの子供も緊張していました。
本来であれば、さまざまな遊びに誘ってその子どもの実態を把握するところですが、緊張しているとせっかくの力も発揮できないことが多いので、一緒に楽しめるようにその場を盛り上げていきました。
盛り上げが功を奏したのか、その子供はとても楽しんで帰っていきました。

基本的には、それほど発達の遅れを感じませんでした。ただ、多少言葉が幼いような気がしていました。

教育相談が終わり、保護者の担当をしていた先生に僕が感じたことを話しました。

すると、その先生は大爆笑の後、僕にこう告げました。
「相談の子は今日来ていないよ。今日来ているのは、相談の子のきょうだいだよ。」

僕は、2人体制であるという油断から、誰が来るのかを確認しないで教育相談に臨んでいました。
なんと情けないことでしょう…。
あまりの衝撃に、ひざから崩れ落ちました。

その話は、すぐに職員室にも広がり、教頭先生をはじめとして職員室に居合わせた先生たちに笑顔をもたらしました。

教育相談の最後に保護者の方から「この子は新しい人には慣れない子で、こんなに遊べることは珍しい」と言ってもらったのがせめてもの救いでしょうか…。

それ以降、教育相談の前には必ず書類をくまなくチェックするようになりました。特に、来校者の欄は必ずチェックするようにしています。

いろいろチェックする中で、来校者の欄に本人の名前がある場合、なるべくその子の名前を覚えるようにしています。
初めての場所で緊張しているとき、最初にあいさつで名前で呼びかけられると多少緊張が解けるような印象があります。
ただ、僕の記憶は時々スリップすることがあり、せっかく覚えた名前がそのときに出てこないときもあります。そんなときは仕方がないので、徹底して盛り上げるようにしています。


以前、プロ野球楽天の野村克也前監督はインタビューの中で
「失敗と書いて成長と読む」
ということを言っていました。
失敗は決してほめられるものではありません。
しかし、失敗したからこそ、見えるものがあり、成長のきっかけが得られると思います。
数々の失敗を繰り返しその度にへこんでいる僕にとって、野村前監督の言葉はスムーズに立ち直ってさらに成長していくためのチャンスをくれる、とても大切な言葉です。

今回の件についても、来校者を勘違いするという失敗は繰り返すべきものではありませんが、あの時の教育相談で失敗をしたからこそ、その後いろいろ工夫するチャンスを与えてもらったと思っています。

最近、そんなことを考えながら子どもたちと接しています。

遊佐 理(ゆさ おさむ)

北海道真駒内養護学校 教諭
特別支援教育コーディネーターになって3年目。特別支援教育のプロフェッショナルとして、笑顔で人と人とをつなぐことを目指して頑張っています。

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