2010.05.07
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こんなにも楽しい小中高校の建築出前ワークショップ

建築家(グローバルアーティスティック代表) 岩崎 亮平

私は以前から建築の出前授業行うために、よく小中高校へ出かけています。ひょっとして仕事より多いかもしれません。そして仕事より楽しいものです。
簡単に言えば、学校から授業時間の何コマかをもらい、建築の授業をするのです。と言っても専門的な講義をするのではなく、家庭科にあるようなすまいの話、建築家の仕事の話、自然環境、大工道具などかなり噛み砕いた内容です。
形式もプロジェクターを見ながらクイズをしたり、VTRを見たり、グループに分かれてワークショップをしたり、実際に砂、水、セメントを混ぜてモルタルを作ったりもします。
何年か前は、ゆとり教育の一環で「総合的な学習の時間」に割り当てられた時間数がたっぷりありました。今は180度転換してしまいましたが。

過去の事例を1つご紹介しますと、2004年に京都府のT小学校5年生90名と担任の先生、それに私たち建築家数名でワークショップ(以後WS)をしました。タイトルは「ぼくたち、わたしたちの教室ができるよ!」
ちょうど小学校の教室の増築工事が行われていましたので、すぐそばに建築現場があるという願ってもないチャンスでした。ちなみにこの5年生の中には私の息子もいました。
現場の工期が6ヶ月だったので、1ヶ月に1回のペースで6回のWSを行いました。

第1回は、プレWSとし、夏休みの宿題にひとり5枚、自分の好きな建物の写真を撮ってくるように言いました。近所、旅行先、帰省先どこでも良いので、特に建物の制限を付けませんでした。
約450枚の写真が集まったわけですが、それはもうバラエティーに富んでいました。ほとんどは住宅でしたが、洋風、和風、巨大な建物、国道沿いのレストラン、街並み、石畳、墓地? …等々。ここで笑ってはいけませんが、東西の超有名アミューズメントパークの張りぼてもありました。
関心したことには、プロポーションのおかしい建物はやはり変だと感じ、よいデザインは綺麗と、こどもなりに感じていることでした。大人では見過ごすけれども、こどもならではの視点で見たものが数多くありました。

この後、全ての写真をワークルームに貼り出し、コンテストを行いました(写真上)。全員に、好きな建物の写真を5枚選んで投票を行い、1位から10位までを発表しました。
グランプリは、確か沖縄にある木の上のレストランだったと思います。景品は鉛筆でしたが、結構盛り上がり、最後に私が作品の講評をしました。
このようにまず建物に興味を持つ事から始めると、この後の展開がスムーズに運びます。

第2回は、実際に工事現場へ出て行って、現場監督に鉄筋の組み方を披露してもらい、数人の子らがその体験をしました(写真中)。
また教室では、あらかじめ学校内にある設備(消火栓、避雷針など)を写真に撮りパネルにしたものを見せ、クイズにしました(写真下)。クイズという響きを聞くだけで、こどもたちの目は輝き出します。また通常の授業とはかなり様子が違うので興味もあったのでしょう。

さて、まだまだWSは続きますが、次回のお楽しみとします。
どんな展開になるのやら、、、、
IMG_5584a.jpgKIF_0209a.jpgKIF_0225a.jpg

岩崎 亮平(いわさき りょうへい)

建築家(グローバルアーティスティック代表)
建築設計の仕事が本業ですが、「こども建築ワークショップ」を主宰し、学校へ出前授業を行っています。子どもに関わること全てが私のライフワークです。子どもは人類の宝者ですから。

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