2010.05.28
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がんばって

北海道真駒内養護学校 教諭 遊佐 理

「がんばって」

僕が良く使う言葉で、それと同時にとても気を使う言葉です。

特別支援学校に勤務していると、
「『がんばれ』って言われても、今でも十分がんばっているのに、これ以上どうがんばればいいの?」
という声を聞くことがあります。
また、ほかにもメンタルヘルスのガイドブックなどを読むと「気持ちが落ち込んでいる人に『がんばれ』と言うのは禁物」と書かれています。

僕自身、気持ちが落ち込んでいるときや、何かイライラするようなことがあると「がんばれって今もがんばっているよ」と思うことがあります。
受け取る側の心理状態などによって、周りの人からの励ましが逆にプレッシャーとなりその人を悩ませることもあるんだな、ということに気がつきました。

そのことに気づいてから、今がんばっていることや今までがんばってきたことについて「がんばっているね」「がんばったね」と言って評価するようにしています。
たとえば、子供から学習プリントなどを見せに来たとき、まず「がんばってるね」とほめてからプリントに目を通すようにしています。
また、運動会の練習では、競技が終わった後で結果はともあれ「よくがんばっていたね。先生、うれしかったよ。」と子供に声をかけられる時間の余裕と気持ちの余裕を持つように心がけています。
こういった小さなことから、子供を勇気づけられたらいいな、と思っています。

とはいえ、子供たちと一緒に生活していると「がんばってほしい」と思うときがありますし、実際「がんばれ」と言っているときもあります。

どうして、そのときの僕は「がんばれ」と言っているのか、ちょっと考えてみました。

僕としては、「がんばりが足りないから、もっとがんばりなさい」という意味で使うことはまずありません。
僕は、「がんばれ」という言葉に「今のがんばりが将来のいい結果につながりますように…」という願いをこめていることが多いです。
英語で言えば、「good luck」に近いのかもしれません。

僕は、何だか知らないうちに幸せになるというよりも、努力の先に幸福になれたということに大きな価値があるような気がしています。
だから、「がんばって」なのです。

皆さんも多くのご意見があるかと思いますが、これが、僕が考えた末に出した結論です。
今回、いろいろ考えてみて、僕としてはすっきりしました。

まずは、僕がどんな精神状態にあったとしても「がんばって」と言われたら、へそを曲げずに笑顔で「ありがとう」と返事できるように僕の意識から変えていきたいと思います。

日本語にも、「good luck」のような意味で気軽に使えるいい言葉があるといいのになぁ、と思っています。

遊佐 理(ゆさ おさむ)

北海道真駒内養護学校 教諭
特別支援教育コーディネーターになって3年目。特別支援教育のプロフェッショナルとして、笑顔で人と人とをつなぐことを目指して頑張っています。

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