2010.03.03
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先生たちの劇

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

毎年、卒業式前に生徒会主催の「送別会」という行事があります。在校生が卒業を控えた3年生に楽しんでもらおうと、体育館で歌やダンスなどを披露します。しかし、送別会の真骨頂は、プログラムの終盤にある「先生たちの劇」にあります。毎年、3年生の先生を中心に素人劇を上演するのです。劇の題材はその年度に話題になったドラマや映画のパロディが多いですね。

しかし、この劇、はっきり言ってクオリティ低いです(笑)。練習する時間がほとんど取れず、オールキャスト全員揃うのは本番ただ1回のみ。当然セリフは覚えていない。照明やBGMの打ち合わせも無く、ぶっつけ本番。段取り悪いわりには先生たちはノリノリだから上演時間が長い!(1時間以上はザラです)

でも生徒たちには大ウケです。そのワケは、普段は怖いアノ先生がセーラー服を着たり、お笑い芸人顔負けの一発芸を披露したり、毎回、水戸黄門よろしく学園オリジナル戦隊ヒーローが決まった場面で登場したり、いつもと違う先生の一面をたっぷり堪能できます。

今年、劇の責任者を初めて経験しました。脚本からキャストの人選、大道具・小道具、なんでも丸被り。すべての準備期間は3週間。出演を断られたり、衣装探しのために古着屋の女性物コーナーでスカートをひとり真剣に品定めして周囲の冷たい視線を浴びたり、「なんで自分ひとり、こんな大変な思いをしないといけないのだろうーか?」と弱気になることもしばしば。そこで助けてくれたのは去年の責任者の先生。その先生も忙しい中、本当に親身になって協力してくれました。仲間に支えられ、ようやく完成させた劇。今年も大好評のうちに上演することができました。

この劇、何時ごろから始まったのでしょう?ベテランの先生に聞いてみると、もう30年以上前からやっているとのこと。教頭先生など若かりし頃、毎年主役級で大変な人気者だったそうです。公式の学校行事ではないので特にマニュアルがあるわけでもなく、口伝で綿々と受け継がれ、続けているそうです。演目も時代と共に変化しているようで、かつては『宇治拾遺物語』など古典ものや、『桃太郎』『三匹のこぶた』といった童話ものが続いた時期があったり、ここ15年ほどは先述の「最近の流行モノ」でいっているようです。かつてはかなり大がかりのセットなども作っていたこともあったようですが、最近では時間のゆとりもすっかりなくなり、簡素化する傾向になっています。しかし、先生たちの生徒への思いは変わっていません。

いつまでのこの「公式」ではない伝統を続けていきたいものです。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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