2009.12.09
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明るい未来は笑顔が作る

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

終戦直後、連合軍の将校が岡山の街を撮影したフィルムを見る機会がありました。当時、日本では珍しかったカラーの映像はそれだけで興味深いものがありました。映像を見ていると、その映像を掘り出した地元テレビ局のディレクターさんが、
「これらの映像見てて出てくる人の表情で気がつくこと無いですか?」

カラーで珍しいということくらいしか気がつかないが・・・

「出てくる人の表情、みんな笑顔なんですよ。今、街でいきなりカメラ向けてもみんな逃げるばっかりでこんな笑顔無いですよ!」

確かに、ここに出ている人々は老若男女みな、屈託の無い笑顔でした。周囲は空襲で破壊しつくされた街。撮影者はこの前までの敵である連合国軍。なぜ、これほどまでの笑顔でいられるのでしょうか?

ディレクターさんはこのことに疑問を持ち、当時を生きた老人にインタビューしたそうです。すると返ってきた答えは、

「戦争中は明日の命があるかわからなかった。自分たちの周りでたくさんの人が死んだ。戦争が終わって自分は運良く生き残った。しかも明日も明後日もずっと生きていられる。そう思うだけでとにかく毎日が楽しかった。」

当時の人々は命の大切さを、戦争という負の体験から心底かみしめていたのです。戦争で生き残った人々は復興という共通のベクトルに向かってあふれんばかりのエネルギーで突き進みました。

今の我々はどうでしょう?長引く不況の閉塞感から未来が見えにくくなっている上に、より複雑になる社会から「共通のベクトル」という概念は消えつつあります。このような視点で改めてフィルムを見ると、当時の人々が見せる笑顔というものがいやに羨ましく感じてしまいました。

戦争という不幸な体験にも負けることなくエネルギーと希望を持っていた当時の人々の姿勢に我々も見習う点があるのかもしれません。この閉塞感を打ち破るには、他人任せで現状を嘆くだけではどうにもならないと思います。まず、次世代を育成する役目の我々教育関係者が笑顔で毎日を楽しく、そして明るい未来を描きながら過ごすようにしなければいけないですね。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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