2009.11.25
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予定調和の無い授業【後編】

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

前回の続きです。「なぜ、昔と今では地名が違うのだろう?」ヒントは「住居表示」。

このヒントから生徒たちはインターネットや図書館に行って、住居表示について調べ、ついに、岡山市の住居表示新旧対象の資料を発見しました。おおよその位置がわかりました。

次に、住宅地図からその方と同じ姓の家を探すことにしました。おそらく、同じ姓であるなら親戚である可能性は極めて高くなるでしょう。

しかし・・・住宅地図を広げて一同ショックを受けました。

周辺に同一姓が多いのです。

これも古くからの集落によくあることです。
「どの人が、OOさん(今回探している人)とつながりのある人かわからないよ!」

半ばあきらめモード。私もどうすればよいか、わからなくなってしまいました。そのとき、

「電話帳・・・電話帳で片っ端から、その住所あたりのその姓の人の家調べて電話かけてみよう。」
誰かがつぶやきました。

おお、ナイスアイディア!しかし、高校生にアポなし電話調査はかなりハードルが高いぞ・・?
できるかな??

「先生、電話をかける人のリストアップができました!」
こちら心配する前に彼女たちはやる気まんまん!

早速電話を・・・
「そんな人は知らないよ」「・・・ガチャ!」「タダイマルスニシテオリマス・・・」
なかなか先の見えない作業でしたが、ついに、
「その人のことはよく知らないけど、うちの近所のOOさんなら知ってるかも知れないから、聞いてみたら?」
一歩前進する結果が得られました!

その電話の後、紹介された方に電話をしてみると、なんと、その方は私たちが探していた人の甥にあたる人だったのです。一冊の文献の中の記述が私たちの身近にいる人に繋がった瞬間です。

このような形で授業を進めます。何がどのように進むかまったく予想もつきません。予定調和の無い授業、思わぬ情報を得たときの喜びは大きいのですが、ときには結果が得られずに失敗し、教師・生徒ともモヤモヤした気持ちを抱えたまま研究継続を断念したテーマもあります。そのようなときも、なぜ断念せざるを得なかったのか?を考えさせた上で(私もいっしょに考えるのですが・・)次のテーマへ気持ちを切り替えていきます。

まるで大学のゼミのようなこの授業、少人数という恵まれた環境だからこそできるものです。せっかくこのような教育環境を与えられているので、これからもこのスタイルをできるだけ続けていきたいと考えています。

野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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