2009.09.29
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ありがとうございました

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

「あなたは、どんなものを食べていますか? 言ってください。あなたがどんな人か当ててみましょう」
フランスのRサバランの言葉です。
薬膳では、「食べ物で性格をコントロールできる」「食べ物が性格をつくる」という考えもあります。
「栄養教諭」になりたいそんな気持ちを起こさせるきっかけだったようにおもいます。
健康のための「食」を超え、「人」とは「生きる」とはを考える学問として、「食」を伝えたい。だからこそ「教諭」という立場が必要と感じました。
しかし、高校生、特別支援学校、中学校、小学校と子どもたちと「食」を通してふれあってきて、今年、「栄養教諭」として新しいスタートを切りましたが、学校現場でなぜ「食育」が大切なのかを伝えきれないもどかしさにさいなまれた半年でした。

 「あなたは、どんなものを食べていますか? 言ってください。あなたがどんな人か当ててみましょう」
子どもたちの本質を捉え、学びの場を提供していく学校だからこそ、子どもたちがどのような食習慣を持っているのかに注目してほしい。「食」を通して、知識や道徳感を育ててほしい。
犯罪行動とその更生にも「食習慣」が関わっていることも知られるようになって既に数十年。なのに「なぜ、そんなことをしたかわからない」とニュースでコメントが流されるたび、私たち栄養士の情報発信、宣伝不足を痛感させられます。
 
 先日、小学生の受験勉強のための合宿風景が紹介されていました。朝から晩まで勉強漬け。その間の食事の中身を見て「勉強ができるだけで、この子達はどんな大人になるのか」と心配になりました。
食事は、お腹がふくれればいい。好きな物を食べさせればいい。そんな意図がひしひしと伝わってきました。「食べる」とは生きる基礎。その基礎を「ただ食べればいい」「好きな物を食べさせればいい」と考えるのであれば、いったい、彼らは、なんのために学んでいるのでしょう。そもそも彼らにとって「生きる」意味とはなんなのでしょうか。そんなことを先生方と腹を割って話し合うためには、「教諭」という同じ立場にならないとだめだ。そんな思いから「栄養教諭」を受験しました。

 「あなたは、どんなものを食べていますか?」「あなたがどんな人か当ててみましょう」
「食べ物で性格をコントロールできる」「食べ物が性格をつくる」
その大切な1食を担っている責任を感じつつ、担任とも、養護教諭とも、スクールカウンセラーとも違う視点から子どもと向き合っていきたいと思います

 栄養教諭となり、未知の地区への片道2時間の異動と教育委員会との兼務という体制は様々な課題を浮き彫りにしつつあります。東京都は全区市にそれぞれ1名ずつの栄養教諭を配置するという計画を立てています。「希望する栄養士全員を栄養教諭に任用替えを」現場の栄養士がいくら望んでも、現場の先生方に一緒にその必要性を感じ、望んでいただかなければきっと東京では厳しいのでしょう。

後期年度末3月まで、栄養教諭研究報告に専念するため、つれづれ日誌も今日でしばらくお休みをいただくことになりました。長いこと、愚痴を含みつたない日誌におつきあいいただきありがとうございました。皆様のご健勝をお祈りさせていただきます。

宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

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