2009.09.15
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人参の収穫   子どもへの指示の出し方

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

「これ!」
「それはだめ!」
1年生の畑でR君が怒られています。
今日は、1学期に種をまき、一生懸命水やりをしてきた人参の収穫です。
天候のためか、水のやり過ぎか、間引き方が足りなかったのか、去年よりちょっと収穫は少なめだったようです。そんな中、ひとり1本ずつ収穫し、観察記録を描いた後、残りは給食で食べようと、再度、畑に子どもたちが集まってきました。
「(お休みしている)Sちゃんと、Nちゃんの分にこれを残して、後は、みんなで抜こうね」
そんな言葉の直後、先生が押さえているSちゃんの人参の葉をR君が抜こうとしました。
「それはだめ!これは、Sちゃんの分って、先生言ったでしょう。なにを聞いていたの」
しっかり怒られてしまったR君。
みんなが終わるまで見学をしていることに。
「先生のお話、ちゃんと聞いていないと、なにをしたらいいのかわからなくなっちゃうよね」
どうして、怒られたのかわからないでいるR君に声をかけるものの、まだ、納得がいかない様子。
畑のはじで、ジーと黙って待っています。

子どもへ指示の出し方や、注意の仕方にも色々な方法があり、学年や個人によって、その方法を変えなくてはいけない。1クラス40人いれば、40通りの個性と理解度がある。その子どもたちに合わせて、限られた時間に指示を出し、行動を導き、気づきを導き出さなくてはいけない。「先生って本当に大変だなぁ」
教員となり、この時間で達成しなくてはいけないことという目標や評価を突きつけられ、改めてその大変さを実感しました。

「ほら、こっちは抜いていいから」
最後の1本。
「いい!やらない!」
すっかりすねてしまったR君をなだめ、「うんこらしょ!どっこいしょ!」と大きなかぶのかけ声を掛けて抜かせると、立派な人参が。
ちょっとうれしそうなほほえみを浮かべて、大事そうに抱えて立ち去りました。

まだまだピカピカの1年生。これから何を吸収して、どんなふうに大きくなっていくのか楽しみです。

宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

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