2009.07.24
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地域学習失敗談(1)

北海道真駒内養護学校 教諭 遊佐 理

僕は、一昨年度まで担任をしていました。地域学習の同行をする機会も多く、それと比例して失敗も数々経験しました。

今回はその中のひとつを紹介します。

僕はとてもおっちょこちょいです。
小学生のころから、通知表には「忘れ物が多い」と書かれ、大人になってからも、「どうして?」というくらい忘れ物があります。

地域学習に同行するときでもやはり忘れ物がありました。
勉強道具など、大事なものは忘れないのですが、一番多い忘れ物は僕の上靴でした。

とある小学校へ向かっている地下鉄の車内で、上靴を忘れたことに気づきました。しかし、取りに戻る時間もなく、仕方なく、そのまま小学校へ行き、スリッパを借りました。
地域学習校の小学生たちも、僕がスリッパをはいていることに気づき、「どうしたの?」と聞いてきました。
僕は正直にうっかり忘れてしまったことを子どもたちに話しました。
すると、その言葉を聞いた子どもたちは
「忘れることは誰にでもあるから、大丈夫だよ」
と言ってくれました。
その言葉を聞いたとき、なんて優しい子どもたちなんだろう、と感動しました。

そのクラスは、にぎやかですが、担任の先生の指導が行き届いていて、まとまりのあるクラスでした。

それ以降、僕がうっかり者だということが分かったようで、クラスの子どもたちはみんな口々に「次は忘れ物したらだめだよ」「時間まちがえないでね」「地下鉄を乗り過ごしたらだめだよ」などと、とても親しみを持って接してくれました。それと同時に、本校の児童にも「どんなお笑い芸人が好き?」「次はいつくるの?」「ちょっと一緒にホールに行こうよ」などとたくさん声をかけてくれるようになりました。

地域学習をうまく進めるコツのひとつに「まずは同行した教師がみんなと仲良くなること」があると、このときに思いました。

どうしても他人行儀になりがちなお互いの関係を打開する方法として、落ちている消しゴムを拾ってあげる、給食を食べながらお笑い芸人の話をする、僕の年齢を当ててもらう(大概みんなびっくりします)、どんなきっかけでもかまわないので子どもたちにこちらから関わることが大切なのではないかと感じています。

そうして、教師と子どもが仲良くなり、特別支援学校に通う子どもたちのことを自然に知ってもらうことで、子どもたち相互の理解につながるのではないかと思っています。

今回紹介したケースも、ひとつ殻を破るエピソードのひとつとして紹介しました。

とはいえ、2回目に上靴を忘れたときには、さすがに「もう少ししっかりしたら?」と言われました……。

やはり忘れ物はいけません。

遊佐 理(ゆさ おさむ)

北海道真駒内養護学校 教諭
特別支援教育コーディネーターになって3年目。特別支援教育のプロフェッショナルとして、笑顔で人と人とをつなぐことを目指して頑張っています。

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