2009.07.10
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地域学習の実際

北海道真駒内養護学校 教諭 遊佐 理

以前、僕は地域学習の概要について説明しました。今回は真駒内養護学校の地域学習について、もう少し詳しく説明したいと思います。

地域学習は、地域学習校の児童生徒と手紙のやり取りをするパターンと、地域学習校に行き、地域学習校での授業に参加するパターンとあります。もちろん、2つのパターンを併用するケースもあります。

真駒内養護学校では、地域学習校での授業に参加するパターンが多く、特に小学部では、全児童の約半数の児童が地域学習校での授業を経験しています。

地域学習に関して、よく質問されることに「年間どのぐらいの頻度で、どんな授業をしているの?」という質問があります。

あくまで平均ですが、年間3回程度地域学習校に行き、1時間か2時間の授業に参加するというケースが多いです。
参加する授業は、音楽が参加しやすいようですが、基本的はどんな授業にも参加できます。周りの子どもたちとまったく同じことができなくても、図工などであれば特別な道具を用意して制作活動したり、国語や算数では別の課題を持っていって取り組んだりなどしています。
お互いのことを理解することが大切なので、まったく同じことができなくても「それぞれ違うやり方をするんだな」「ここは同じなんだ」ということに気づけたら、それがお互いのことを理解することにつながると考えています。
そのほか、給食を一緒に食べる、朝から帰りまで参加する、学習発表会などの行事に参加する、などさまざまなケースがあります。

お互いにとって充実した地域学習にするには、ちょっとしたコツがいくつかあります。

そのひとつとして、特別支援学校・普通学校双方の担任が、授業について話をしていき、授業のイメージを明確にしながら打合せをしていく、ということが挙げられます。
担任同士の打ち合わせをしっかりすることで、お互いの教師が「どうかかわったらいいのか?」と躊躇することが減り、お互いの心理的負担感も減るので、普通学校の先生たちも特別支援学校の先生たちも相手の学校の児童生徒に対して余裕を持ってかかわれることができます。
そして、教師間の相互理解がモデルとなり、子供同士の相互理解にいい影響を及ぼしていくようです。


これから地域学習(居住地校交流)を始めようとされている方々も読者の中にいらっしゃるかも知れません。地域学習を進める際には、それぞれの地域や学校や子どもの実態などに応じてさまざまな条件や制約があるかと思います。その中でいろいろ工夫をしながら、まずは無理がない形で取り組んでみるということが大切ではないかと考えています。
その中で、子どもたちの目が輝く瞬間を大切にして、その瞬間を積み重ねることで、その子たちにとって必要となることが見えてくると思います。

それぞれの将来の社会生活がさまざまであるように、地域学習のパターンもさまざまな形があるのが当然だということに、最近気がつきました。

今日、僕が紹介したケースやコツも、あくまで真駒内養護学校のケースであり、そこから僕が見つけたコツです。これ以外にもさまざまなケースがあり、それにまつわるコツがあると思いますが、今回紹介したことが皆さんの参考になれば、僕としてはとてもうれしいです。

それと、何か良い実践がありましたら僕にも教えてください。

次回は、僕が地域学習で失敗したこと、そこから学んだことについて話したいと思います。

遊佐 理(ゆさ おさむ)

北海道真駒内養護学校 教諭
特別支援教育コーディネーターになって3年目。特別支援教育のプロフェッショナルとして、笑顔で人と人とをつなぐことを目指して頑張っています。

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