2009.06.15
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大人の目線と子どもの目線

明石市立王子小学校 主幹教諭 原田 幸俊

 6月11日に、3年生を引率して、校外学習に行ってきました。結構いろいろなハプニングもあったのですが・・・。社会科と総合(環境学習)を両方のねらいを持って出かけました。・・欲張りかなと思ったのですが、せっかくバスを1台借り上げての活動ですので・・

 行き先は、公設卸売市場の見学とジュース製造工場の見学2地点は市内の東部と西部に分かれていましたのでその移動の過程で北部に足を伸ばし大きな公園で自然観察を実施しました。

 その活動の中で、大人とは違う発想や観察眼を持っているなと思わせる、出来事がいくつかあったので、当たり前のことなのですが、大人の目線と子どもの目線の違いを感じてしまいました。

 公設卸売市場では、せりの見学をしました。せりの掛け声を判別するのはとても難しいですし、ましてや仲卸し業者さんのせり落としたい金額を示す指文字など早くて見えないだろうに思いましたが、本物を見せたいと思い見学させました。

 子どもたちは、せりが終わった後、結構せりのかけ声をまねている子がいました。指文字もまねていました。これは、英語活動にも共通するのかもしれません。子どもは感性でその場の音の特徴をすばやく捉え、間違っていてもいいし、恥ずかしいという思いも持たずに口に出します。それを繰り返しているうちにちゃんとしゃべれているのです。かけ声もそうだったんでしょう。大人は、何を言ってるのだろう?と、意味や発音を考えてしまうので、なかなかしゃべれない。

 自然公園でも「う~ん」と考えてしまうことがありました。自然公園といっても運動ができる大きな広場の周りを取り囲むさくら並木と牛の放牧地があるだけなので、自然観察をするようにグループ行動で出発させた後も雨上がりだし、何も見つからないのではと少々期待薄という感じで、子ども達はなかなか苦労するかなと思っていました。

 私自身が子どもたちの様子を見回りながら観察したのですが、事実あまり目新しものが見つけられませんでした。子ども達も最初は、四つ葉のくクロバーを探し始めたり、やみくもに公園を走り回るグループが結構いたのですが、そのうち私に色々と報告に来たり、大きな声で「先生来て(^^)/」と手を振る子ども達が増えてきました。

 例えば、木の樹液にありの行列があったり、ちいさなバッタの赤ちゃんを見つけたり、大きな蟻塚らしきものを発見したりと子ども達の観察眼の鋭さを感じました。
大人の先入観いっぱいでそれも高い目線から眺める自然に対し、そのままの自然を5感をとぎすまし、子どもの低い目線でじっくり観察しているからこそだと思います。

 しかし子どもらしいエピソードもありました。放牧場にいったグループはその入り口付近で立ち止まってしまいそこから動かなくなりました。実はたまたま馬が放牧されていてすぐ近くまできて愛嬌を振りまいていたのです。子ども達は真剣にその様子を記録していたのです。反対側にも乗馬クラブがあり馬がたくさんいたのですがその様子を書いている子はいませんでした。子ども達にとって放牧している馬は昆虫や鳥と同じレベルかそれ以上の自然と捉え、乗馬クラブの馬は自然というカテゴリーから外されたのかも知れません。

 子どもってスゴイですね。

原田 幸俊(はらだ ゆきとし)

明石市立王子小学校 主幹教諭
小学校の低学年の教育に関心があり、細々と研究を続けています。特に生活科や幼少の連携について興味があります。韓国の教育についても低学年教育はいろいろ共通点が多く興味を持っています。

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