2009.05.12
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「食育」って  東京都の栄養教諭制度

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

東京都に栄養教諭制度が導入されて2年目。
昨年度採用の5名は、それまで勤務していた学校にそのまま学校栄養職員から栄養教諭に任用が変わっての取り組みでしたが、今年度採用の11名は大半が他行政への異動となりました。
新しく着任した行政の把握、児童の実態把握、新しい職場での人間関係の育成・・・
栄養教諭として期待される仕事以前に、栄養士としてやらなくてはいけないことも多いはずなのに、学校現場と教育委員会との兼務に、これまで培ってきた力の半分も発揮できない、両方が中途半端な内容で時間のみが過ぎていくもどかしさに悔しい思いのみが募っています。

制度として導入された「栄養教諭」そして、東京都の進める「食育推進研究地区」事業。それらの両方が教育委員会ならびに学校現場にまったく説明されないまま、計画の作成のみが急がれ、他地区から配置された栄養教諭と役所の担当者、そして学校が、わけもわからぬまま右往左往させられたような・・・

食育基本法の制定、食育推進計画の作成、学習指導要領への「食育」の明記にも関わらず「外国語」の導入のように「食育」を学校現場に下ろせない背景には、東京都教育委員会自体が、「食育」を持て余らせ、その取扱い方を模索中である実態があることがわかります。

どんな状態であれ、現場にいるのは子どもたち自身です。今いる子どもたちにとって、どのような学びの場を提供していくのがよいのか、せめて、異動したての1ヶ月は、そのことを考えることに集中させてはもらえないのか、やっと、子どもたちの笑顔と真正面から向き合えるようになった自分に気づき、教育がだれのためにあるのかを改めて感じる今日この頃。

「食育」ってなんだと思いますか?
教育の現場でどのように「食育」が取り扱われていくことが、今後、子どもたちの成長のために役立つのか。これからも先生方と一緒に悩みながら考えていきたいと思います。

宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

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