2009.04.29
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カウラ訪問記2

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長 野村 泰介

3月25日の記事にも書きましたが、今回のカウラ訪問の目的は
1.オーストラリア人のカウラ事件に対する認識の聞き取り調査
2.カウラ事件日本人墓地の慰霊
の2点。カウラ2日目はこのミッションを遂行すべく、大変忙しいスケジュールのもと動きました。

まずはカウラ市民に事件について街頭インタビュー。宿舎のオーナーが通訳としてヘルプしてくださり、スムーズに行うことができました。インタビューの結果は、やはり事件から65年が経過し、昔を知る人が少なくなる中で現地でも「過去のこと」という流れになってきているようです。

続いて日本人捕虜収容所跡地の見学。収容所跡地は周囲に障害物のない平原にあり、当時の建築物などはすべて撤去されていますが、かろうじて礎石に面影を見ることができました。65年前、日本兵が死ぬための脱走を試みたその地を踏みしめると何とも感慨深いものがありました。

日本人墓地では日本で録音した生存者の方の弔辞の音声を流し、花束をたむけ慰霊を行いました。この日本人墓地はオーストラリア政府の計らいで形式上の日本領となっています。墓地の管理は現地の退役軍人会の方々が行っており、掃除も非常に丁寧に行われ大変きれいなところでした。

午後はカウラ高校で日豪高校生同士の交流です。最初に本校アクティブイングリッシュコースの生徒が英語で作成したカウラ事件についてのDVDを上映、その後はお互いの議論の時間となります。

その中で、オーストラリア人高校生のどうしても理解できない日本人の行動パターンが「みんないっしょに」というものらしいです。脱走事件当時、脱走に加わった日本兵の中には本当は脱走に反対だった人も結構な数だったらしいです。しかし、日本人の「みんないっしょ」という思考が彼らの本音を押し殺してしましました。カウラ事件を「日本人の狂信的な自殺的行動」と考えるオーストラリア人がいるのも、この辺りのことなのでしょうか?
この話をしたときに生徒たちは面白い例えを出しました。「私たちは、休み時間にトイレに行くのに友達といっしょに行く。」日本の学校ではごく当たり前の「ツレション」の光景ですが、オーストラリア人高校生は非常に驚いていました。僅か1時間の短い交流でしたが、中身の濃い充実した内容となりました。

夕方は戦争資料を集めている博物館を見学し、地元スーパーに立ち寄りおみやげを購入後、宿舎へ戻りました。

翌朝5時、ちょっぴり早起き。その目的は日の出を見ること。眠い目をこすりながら小高い丘に登り、地平線からのぼる朝日をしっかりと目に焼き付けました。

その日は帰国の途へつくため再びシドニーへ。シドニーではでっかいオージービーフのステーキを食べた後、有名なオペラハウスとハーバーブリッジの見える公園で夜景を楽しみ、宿舎のユースホステルへ。生徒たちも外国人と相部屋だったため、色々な国の人との会話を楽しんでいたようです。ユースホステルで休息をとった後、シドニー空港からふたたびソウル経由で関西空港への長い飛行機の旅となりました。

駆け足のレポートでしたが、忙しい中でも当初の目的は100%達成できたと思っています。生徒たちにとりましても、本や人から聞いたことだけでなく、目で見、空気を肌で感じることで貴重な勉強になったと思います。

また機会があればこのようなフィールドワークを企画・実施したいと考えています。

写真1枚目…カウラの収容所跡地
写真2枚目…日本人墓地での慰霊
写真3枚目…カウラの朝日
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野村 泰介(のむら たいすけ)

学校法人山陽学園 山陽女子中学・高等学校広報室長
今年創立125年の女子校の広報を担当しています。岡山市内唯一の女子校として、その特色をアピールできればと思います。

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