2009.05.15
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地域学習

北海道真駒内養護学校 教諭 遊佐 理

以前、ここのページで、真駒内養護学校の通学区域の広さをお伝えしました。

真駒内養護学校へ通ってくる児童生徒のほとんどが本来通うはずだった小中学校のある地域から離れた本校へ通ってきています。それゆえ、家に帰ってもその地域に知り合いがあまりいないという課題が以前から指摘されています。
「交流及び共同学習」が学習指導要領にも明記され、全国でも居住地の学校との交流及び共同学習が進められています。
本校でも平成13年度より居住地の学校との交流を行っています。特に、札幌市については、平成15年度より札幌市教育委員会で「地域学習」という取り組みをしていて、地域学習校(居住地の学校のこと)での学習が進められています。

僕は、コーディネーターとして地域学習校と本校の子どもたちをつなぐ役割をしています。一昨年までは、担任として地域学習校へ行っていました。

地域学習をとおして、お互いのことを良く理解し、将来どこかで会ったら声をかけてもらえるような、少なくとも互いにネガティブなイメージを持たないような関係になれれば、と願いながら業務をしています。


最初に地域学習校に行くと、地域学習校の子どもたちが周りを取り囲みます。矢継ぎばやに質問され、本校の子どもたちは圧倒され、ぐったり疲れて帰ってくることがほとんどです。

それが2回3回と回を重ねるにつれ、仲良しの友達が2・3人だけ来るようになります。そうなると、子どもたちだけの関係もできはじめます。本校の子どもたちもそれほど疲れることもなくなり、「これどうするの?」「大丈夫?」といったような、他愛もない会話が増え、ちょっかいを出し合うなど、同じ年の友達としてのかかわりが増えてきます。

いくつかのケースでは、地域学習校から近所に住んでいる子どもたちと一緒に下校したり、放課後にその中の一人が遊びに来たりもします。
他校の事例では、成人式の会場で、一緒に地域学習をした仲間が来て話しかけてくれた、ということもあるようです。

昨年度、地域学習を進める役割を担うに当たり、いろいろ資料を読み、研修に参加しました。交流及び共同学習が目指すものとして「相互に人格と個性を尊重し合える共生社会」「障害のある子どもと障害のない子どもが一緒に参加する活動」「交流及び共同学習を進めることによって、その相互理解を促進する」などの言葉が出てきます。

共生社会、相互理解……。その言葉が意味するところを考えたり、実際の声を見聞きしたりするうちに、上記の言葉を達成するにはとても時間がかかるものだということが分かってきました。
地域学習は、盛大に行うよりも、長く続ける必要があるということが言えます。
長く続けるために、我々がすべきこととは?
自分自身や周りの先生たちに問いかけ、精一杯の毎日です。

今後、地域学習として小中学校におじゃましたときの話なども折にふれてお話できれば、と思っています。

遊佐 理(ゆさ おさむ)

北海道真駒内養護学校 教諭
特別支援教育コーディネーターになって3年目。特別支援教育のプロフェッショナルとして、笑顔で人と人とをつなぐことを目指して頑張っています。

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