2009.02.17
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「危ないこと」から  新学習指導要領と「食」

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

 最近、「怪我をした」という子どもの姿が目につきます。“すりむいた”“とげが刺さった”といったかわいいものからギブスをつけなくてはいけない重傷なものまで・・・子どもの怪我は元気な証拠。「子どもらしさ」をほほえましく思う一方、なぜ!?と思うようなしなくてもよい怪我も・・・。
校長先生から朝の講話や避難訓練で「危ないこと」について話がありました。何が危ないのか、どうすると危ないのか。どうしたらいいのか。自分でしっかりと考え、行動するように呼びかけられていました。

 給食時間における「危ないこと」は、配膳用ワゴンをいきおいよく運ぶ。給食準備中に廊下や教室でふざけている。食事の最中にフラフラ歩き回る。いすを傾けて座る。食器や牛乳瓶を机の端に置く。よそ見をしながら食器ののったお盆を運ぶ。残した物を食缶にたたきつけて落とそうとする。ワゴンに乗っかって廊下を運ぶ。
以前触れた、口の中に食べ物をほおばりすぎるというのもあります。

 新学習要領を見直していくと、これらの「危ないこと」を考え、回避するためにはどうしたらよいのかを考えることは、体育・健康に関する指導(第1章第1の3)に当てはまります。また、基本的な生活習慣や社会生活上の決まりをみにつける、集団の中の自分をみつめる等道徳教育(第1章第2の2)にも触れています。

 先週、児童集会で、給食委員会の子どもたちが発表しました。何回も練習をして、ドキドキしながら迎えた本番。途中で、関係のない音楽が・・・舞台の放送係の児童が放送器具をいじって、流してしまったようです。いたずらしていた子どもは、その些細な行動が、どれだけ発表していた子どもたちを傷つけたか気づいているのでしょうか。給食委員の子どもたちは、どれだけ、自分勝手な行動をとると、他の人に迷惑をかけるのかということを、身をもって学んだのでしょうか。
自分が、今、何をしなくてはいけないのか、何をしているのか、何をしてはいけないのかを考える。自分が、今、したいことを最優先するのではなく、周りの状況や他の人のことも考えられる。
これも、“危ない”ことをどのように考え、予測し、どのように行動するのかと同じで、とても大切な事です。
しかし、教師の注意の仕方、言葉のかけ方一つで、子どもの“気づき”は全く違ってしまいます。何度も同じ危険を繰り返す、人のことを思いやれない。自分勝手。どこでその子の心をつかんだらよいのか、その子がどんな発達段階にいるのか・・・。

 ただ食べるだけ、栄養の補給で終わってしまいがちな「給食」。ともすれば、指導項目が増えてしまうと毛嫌いされやすい給食時間。しかし、子どもたちのとる行動ひとつひとつに意味があり、これまでの働きかけの成果を示している。これからどのような働きかけをすると、その子への教育効果が上がるのかのヒントを示している。そう考えると、毎日必ずある給食時間は、とても大切な時間であると改めて感じます。

 「危ないこと」ひとつの視点で新学習指導要領を読み返しても、様々な関わりを持っていた「学校給食」。
逆に、「これは給食・食育と関係するな」と思う箇所に下線を引いていったら、ほとんどすべての教科に絡むことに改めて気づき、驚いています。
各教科の成果の確認、評価、補助教材として「食育の場」が活用されるにはどうしたらよいのか、来年度に向けて大きな課題となりました。


写真上 行事食 バレンタインデー
    デザートのセレクト(チョコムースかチョコケーキ)
     もちろん手作りです♪
写真中 朝ごはん食べたかな?
写真下 朝ごはんを食べないと(掲示物)
barenntainn.jpgasagohann.jpgasagohanntabenaito.jpg

宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

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