2009.02.03
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豆まき

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

「鬼は外!福は内!」
ランチルームの中は大騒ぎです。
「すがたを変える大豆」「食べものはかせになろう」の授業から、「大豆」について勉強した3年生が、2月3日の節分の時期にランチルームの使用にあたるように年間計画をたて、ついに迎えた当日。
「大豆のパワー覚えているかな?」「毎日、大豆のなかま、食べていますか?」とまずは復習と確認。
そして、いよいよ「豆まき」
「鬼は外!福は内!と言うと、豆のパワーがアップして、悪い鬼は逃げていきます。いいこともたくさん集まってくるので、大きな声で、かけ声をかけながら豆をまきましょう」と言ったのに・・・

1組目、
「鬼は外!福は内!」の声はあまり聞こえません。
「わ~!」「キャァ~!」
ほんの数分でしたが、子どもたちは元気に鬼を追いかけては、豆をぶつけています。
中には、鬼が豆を投げ返している子も・・・

「ちゃんと、『鬼は外!福は内!』って言った人」
半分くらいの子どもしか手を挙げません。
「家では、豆まきしないの?」と聞くと
「やる場所ない」
「片付けめんどう」
との返事が。

日本には、様々な伝統行事が残されています。しかし、これらは、ただなんとなく、自然と残っているわけではありません。親から子、子から孫へと、その行事を伝えようと努力してきた人々がいます。それぞれの行事には、
それぞれの意味や思いが詰まっています。忙しさにかまけて、「そんなめんどくさいもの」と切り捨ててきたもの
の中に、私たち日本人が本来忘れてはいけない大切なものがたくさんふくまれているように思います。

「家でもやらなくなっているから、恥ずかしがっているのでは」
スクールカウンセラーの先生からアドバイスをもらい、担任の先生とも策を。
みんなで「鬼は外!福は内!」のかけ声から練習することに。
私が小学生の頃には、“豆まき集会”もあったのに・・・

授業時数確保のために削られていく様々な学校行事。家でも学校でもやらなくなった伝統行事を給食の場がつなぎ止めていくお手伝いができればいいのですが・・・。



写真:節分献立(大豆ごはん 辛子和え いわしのつみれ汁 いよかん)
200201.jpg

宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

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