2008.12.09
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

どうしたら、食べられるかな?  少人数学級

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

「○○君、確か野球やっていたよね」
学校でも家でも食が細いと心配されているN君。給食もいつも最後まで食べきれずにいます。
「将来、何になりたいの?」
「野球選手!」
「えぇ~。じゃあ、余計しっかり食べなくちゃだめじゃない」
「一流のスポーツ選手は、栄養士をつけて食事管理をしているんだよ」
「知ってる」
N君のいいところは最後の一人になっても、なんとか食べようと努力はしていること。
「練習、がんばっているんでしょ?」
「同じ練習をしていても、食べているもので、差がついたんじゃ悲しいじゃない。食べることも練習の1つだと思わなくちゃ」
「このチームには負けたくない!! とか、こいつには負けないぞ! っていうことない?」
「ある」
「よ~し!じゃあ、この一口でそのチームに勝つぞ!! って思ってたべてごらん」
鼻をつまみ、ちっちゃく、ちっちゃく切った“ゴボウ入り大豆つくね”を一口パク。
なんども噛んで噛んで、最後に牛乳で流し込みます。
「そんなに小さく切って食べたら、なんども嫌な思いをしなくちゃいけないんじゃない? 先生だったら、嫌いな物、もう少し大きく切って『え~い!』ってほおばって、早くなくしちゃうけどな」
「やってみたけど、一度にたくさん入れると、口の中ににおいが残っちゃうんだ。牛乳を飲んでも消えなかったんだ」
自分なりに、どうやったら食べられるか工夫していたことにちょっとびっくり。

「食」に関しても個への対応が求められています。2ヶ月に一回(1週間に4回18学級が順番にランチルームで食事をするため)くらいしかじっくりと様子をみてあげられないN君。ほかにも何人か時間をかけて対応したい子どもがいても、なかなか手がまわりません。クラスでも40人近い子どもに準備から後片付けまでをたった45分で済まさせるためには、それほど行き届いた対応は難しい様子。クラスによっては「食べる時間が10分しかなかった!」という声も。(中学校では5分というクラスもありました・・・)
「準備を早くして食べる時間を確保してほしい」そんな願いも、マイペースな子どもたちにはなかなか届かないのが現状です。

「一クラスの人数がもう少し少ないといいのに・・・」
“食”の面からも少人数学級の必要性を感じています。

ゆったりとした気持ちで、食べ物や料理の味を味わい、友達と会話を楽しみながら食事をする。
さて、みなさんだったら、何分くらい必要ですか?

写真上:わかめごはん・ごぼう入り大豆のつくね・おひたし・みそ汁・みかん・牛乳
写真中下:家庭科授業風景(給食の献立を立てます)
201203.jpgkateika.jpgkateika2.jpg

宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop