2008.11.11
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自分たちが食べているもの  大人が手本を

東京都 栄養教諭 宮鍋 和子

「え~っ!うそじゃん」
3週間前に収穫されたブロッコリー(輸入物)に「フレッシュ」のシールが貼ってあることを知った子どもたち。
学校公開2日目。5年生が総合の時間を使って食品分析センターの方から食の安全についてお話を伺いました。

「みんな、おにぎりの材料はなんだ?」
「ごはん」
「のり」
「しゃけ」
「おっと、今日は!梅干のおにぎりで考えようかぁ」
「う~ん。しお」
「そうだね。じゃあ、このおにぎりをちょっとちぎって、この水に入れてみよう」
コンビニで買ってきたおにぎりを児童が水の入ったコップにポトン。
「上のほうになにか見えないかな?」
「なにか、浮いてる」
「あぶらだよ」
「え~!見せて見せて!」
「ごはん、のり、しお、梅干があれば、おにぎりはつくれるんだよな。でも、こうやって買ってきたおにぎりには、それ以外のものも使われているんだ。ぼくたちは、知らず知らずのうちに、本来の材料以外のものも食べているんだよ」

100%ジュースは濃縮果汁を輸入して100%になるように薄められ、香料や甘味料が足されていること、最近は、お茶も濃縮したものを薄めていること、輸入の果物にはたくさんの防腐剤やワックスが振りかけられていることなどを知り、子供たちは驚きの声を上げていました。

「食べ物の問題、どんなことを知っている?」の質問には「コアラのマーチ」「カップヌードル」「メラミン」「ジクロルボス」「冷凍餃子」「粉ミルク」など子供たちの口からも次々と飛び出す食品や薬品名。新聞やニュースをよく見ていることに感心しました。

「日本は輸入食材に頼り、農薬も食品添加物も必要な面もある。しかし、自分達が普段食べているものがどういう物なのかを知った上で、食品を選ぶ能力をつけてほしい。」講師の先生の思いは、とても1時間では話し尽くせない様子でした。

子どもたちには、これからもいろいろな物に関心を持って、自分で考え、選ぶ能力を身につけてほしいと思います。大人達が何を一番に考え、どんな行動をとっているのか。食の問題に関するニュースを思いのほかよくみていた子どもたちの様子をみても、大人や社会の何気ない動きも子どもたちはちゃんと見ていることを感じました。
大人がしっかりと子どもたちに手本を見せていく。当たり前のことなのでしょうが、最近の食にかかわる問題や様々なニュースを見ていると、私たちは子どもたちに何を伝えようとしているのかとても心配です。

来年から総合の時間が減らされます。英語教育も必要かもしれませんが、本当に生きていくうえで必要なことを学ぶ場が削られるのは残念でなりません。

宮鍋 和子(みやなべ かずこ)

東京都 栄養教諭
定時制高校、聾学校(高・専)、中学校と勤務し、2007年春より小学校に勤務することになりました。学校給食を通して、子どもたちと一緒に、成長できたらと思います。

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